苦労して採用活動をおこない、自社とマッチする応募者に内定を出したとしても、応募者から「少し考える時間がほしい」と言われることがあります。
内定承諾に時間を要する理由はいくつかあると思いますが、他社と迷っている、もしくは志望度が同じかそれ以上の企業の選考結果を待っているといった場合が多いでしょう。
今回はそのようなときに、採用担当者が応募者の意向を高めるためにできることをお伝えします。
内定者が不安に思っていることを知る
内定者にアプローチするために、まずは内定承諾を迷う内定者が何を不安に思っているかを知る必要があります。
年収や条件面に合わない部分がある
基本的には選考過程ですり合わせる必要がありますが、選考中は納得できていたものが、いざ内定をもらい冷静に考えてみると気になるということがありえます。
会社としてどうしても獲得したい人材であれば別ですが、提示条件があまりにも高い応募者に無理に合わせる必要はありません。
ただ、どこまでなら応えられるかを明確にして、お互い納得のできる落としどころがないか話し合うことも大切です。
働き方が希望と異なる
ITエンジニアは、リモート勤務やフレックス勤務など、比較的自由な働き方を好む人が多い傾向にあります。特に最近は、リモート勤務を希望される応募者も多いでしょう。
会社によって考え方は違いますし、ひとりの応募者のために制度を見直すというのはあまり現実的ではありません。しかし、社会情勢の変化に合わせて働き方も柔軟に対応していかないと、欲しい人材を獲得するのが難しくなる場合もあります。
組織やチーム内で活躍できるか分からない
内定を得たものの具体的な働くイメージがわかずにこういった不安を抱く方もいます。
要因としては入社後にどんな仕事を任されるか、どういった役割・成果を期待しているかが応募者に伝わっていないことが挙げられます。
中途採用の場合は、応募者のこれまでの経験やスキルを自社で生かしてもらうために採用することが多いはずですので、評価した点や期待している内容について明確に示しましょう。
社内の雰囲気が合わないかもしれない
これもさきほどと少し似ていて、条件や業務内容には問題ないが入社後の情報が不足していて不安を抱くケースです。
選考過程では採用担当者や一部の社員としか会うことがないので、特に開発チームは普段どのような雰囲気で仕事しているのだろうかと気になる方が多いようです。
社内にエンジニアが少ない
起業して間もないスタートアップであれば応募者も理解した上で応募しているはずですが、ある程度の社歴や規模があるにもかかわらず極端にエンジニアが少ないと不安を与えます。
「退職者が続いているのだろうか」「ひとりあたりの仕事量が多そうだな」などあまりよくない想像をされる前に、もし課題感があれば隠さずに共有しましょう。
迷っている応募者への具体的なアプローチ
応募者の転職軸と不安ポイントを正確に把握する
応募者が迷っているということは、その人の中で企業選びの基準がまだぼんやりとしている状態です。よって、まずは応募者の企業選びの判断軸が定まっているかを確認します。
たとえば、内定後に以下のポイントをヒアリングしてみましょう。
ヒアリングする際のポイント
- 他社の選考状況と志望順位、その理由
- 他社と比較して魅力的だと感じている点および懸念点
- 転職のきっかけと転職でかなえたいこと
- 転職軸のうち優先度が高いものと、その転職軸から見たマッチ度
- 現年収と希望年収、最低承諾ライン(最低限必要な月収)
- 入社可能時期と現職での退職交渉状況
- 家族からの反対がないか
これらの回答と、これまでの選考で応募者から引き出した情報に齟齬がないか(選考順位の入れ替わりが起きていないかなど)を確認し、応募者が何を重視しているのか、そのために何が内定承諾のアピールポイントとして足りないのか探ります。
たとえば、表面上は「転職ではスキルアップ重視」と言っていても、懸念ポイントや質問内容に「福利厚生」が多かったり、他社の志望度が上がった理由が「年収」であったりする場合は、実は重視する軸は「スキルアップ、福利厚生、年収」の3つであることが分かります。
応募者に響くアピールをするには
前述のとおり、応募者が重視する軸が分かったあとは、自社が希望にマッチすることをもっと知ってもらえる場を設けましょう。具体的な方法として4つご紹介します。
オファー面談
すでに実施している企業も多いかとは思いますが、年収含め条件面のすり合わせや動機づけをする場として有効です。特に入社後にギャップが生じやすい、以下の4項目は応募者が納得感を持てる説明をするよう努めます。
- 年収(賞与や残業代についても)
- エンジニアの評価制度
- 会社および開発チームの雰囲気
- 福利厚生
開発チームとの座談会やランチ会
実際の社内の雰囲気というのは、採用担当者が面談で伝えるだけではなかなか伝わりづらいものです。そこで、一緒に働くことになる開発チームとの座談会やランチ会を実施するのがおすすめです。
このとき近しいポジションで働く人、直属の上司にあたる人などが候補になると思いますが、「応募者の価値観に響く話ができる人」をアサインするというのもひとつのポイントとして覚えておいてください。
さきほど応募者の転職の軸を再確認するステップがありましたが、それを踏まえて、たとえば過去に似たような軸で転職をしていて入社した社員をアサインするとよいでしょう。
また、採用ポジションがリーダークラスであれば、場合によっては社長がビジョンを語ったり、CTOが技術的なことを語ったりするのが有効なことがあります。
オフィス見学
事業内容によってはセキュリティ面で厳しい場合もありますが、可能であれば実際にオフィスに招いて普段の働いている様子を見てもらってください。
働くイメージがわいていない応募者には有効である一方、機密情報や個人情報の取り扱いや怪我などに十分気を配る必要があるため対応が大変な面もあります。
インターンや副業での業務体験
応募者の現職の就業規則上問題がなければ、インターンや副業といった形で業務を体験していただくのもいい方法です。
インターンというと新卒のものと考えがちですが、中途採用インターン(社会人インターン)を取り入れる企業も増えています。実際に内定先の業務をおこなってみることで、応募者は働くイメージができるだけでなく、ギャップの有無も確認できます。
エンジニア採用専門サービスに相談をする
ここまで内定承諾を迷う応募者にどのようにアプローチすればよいかお伝えしてきました。
自社で取り組める内容もあるかとは思いますが、ITエンジニア採用は他の職種と異なる点もあり、かかった工数や費用に見合う結果が得られないこともあります。
paiza転職では、エンジニアを募集している企業の皆さまからの「積極的に採用活動をしているが、なかなかエンジニアを採用できない」といったご相談もお受けしています。ぜひご活用いただければと思います。
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