こちらの記事で、中途採用者の短期退職を防ぐ「オンボーディング」という取り組みの概要をご説明しました。今回はオンボーディングの具体的な導入事例をいくつかご紹介します。
会社の規模や事業フェーズ、採用者の配属先となるチームの体制などによって、どういった取り組みをするとよいかは異なりますが、取り入れられそうなものがあれば自社で実施する際に参考にしてみてください。
具体例をご紹介する前に、オンボーディングを導入するにあたって気をつけたいポイントを簡単にお伝えします。
この中では「組織全体で」というのが特に大切です。主導は人事部や受け入れ部門であっても会社として、新メンバーの早期即戦力化や企業文化に早く馴染んでもらうための取り組みだと社員が理解する必要があります。
以降で5社のオンボーディングでの取り組みををご紹介します。なお、情報は公開された時点のもので現在とは異なる場合がありますのでご了承ください。
Googleでは、新しいメンバーを受け入れるチームが主体となって迎え入れるための準備を進めます。
入社初日にGoogleでの働き方、プロダクトのこと、今後の戦略など会社の大きな流れの説明があり、そのあと個人の業務にブレークダウンしていくそうです。担当業務についてはもちろんですが、それだけではなく会社の仕組みや社風、価値観などを学ぶことが大切という考え方にもとづいています。
また、以下の5つのチェックリストが新メンバーの上司に配属の1日前に送られます。
これらはシンプルですがとても重要な内容となっています。
Googleの社内調査によると、受け入れ時の準備がしっかりされている状態で入社した社員は以降3カ月のパフォーマンスが30%上がるという結果も出ています。
参考サイト:
Why Google’s Onboarding Process Works 25% Better Than Everyone Else’s
Google、メルカリも採用。新メンバーのパフォーマンス&定着率を上げる「オン・ボーディング」
Twitterでは"Yes to Desk"と呼ばれる、採用のオファーを受けて(Yes)から、当日席につく(Desk)までのプロセスをきちんと整えておく仕組みがあります。
PCのセットアップやメールの設定はもちろん、席には歓迎の証としてTシャツとワインが置かれているそうです。席は仕事上関係の深い同僚の隣に配置されます。
入社当日の朝食はCEOと一緒にとり、そのあとオフィスツアーが実施されます。月に1度は企業文化の理解を深めるために経営陣との交流があり、他の部署の仕事を学ぶ機会も用意されています。
これらは新しいメンバーが入社初日を迎える前に、「新入社員が加わったことをみんなが歓迎し、成功させるためにはどうしたらいいか」をマネジャーが考え計画します。
参考サイト:
Twitter, LinkedIn, and Google Have Mastered Employee Onboarding, and You Can Too. Here's How
取締役COOの石倉氏によりますと、キャスターでは「入社3カ月で一人前になってもらう」という目標があり、その一人前の基準を事業ごと、ポジションごとに決めているそうです。
ひとりひとりにメンターがついており、一人前になったかどうかはメンターが責任を持って判断します。
業務のオンボーディングと文化のオンボーディング両面が必要と考えており、業務のオンボーディングではたとえば以下のようなことを実施しています。
など
次に文化のオンボーディングですが、特にリモートワーク環境下ではコミュニケーションが足りず、あとから入った人に見えづらいという問題があると捉えて、たとえばSlackでの取り組みとして
といった会話が発生する仕掛けを作ることを大切にしているそうです。
参考サイト:
リモートワークでのオンボーディングノウハウ|石倉秀明 |note
組織の「50人の壁」で古参の社員が続けて辞めてしまったこと、また、社員のオンボーディングが整っておらず定着率が悪かったことをきっかけに「YOP(ヤプリ・オンボーディング・プログラム)」作り受け入れ制度を整えたそうです。
具体的な取り組みとしては
など、組織に馴染むためのプログラムとなっています。
合わせて、全社員を対象にカスタマーサクセスの思想の浸透のための合宿の開催や実際の顧客事例をもとに提案を考えるなど、全社でCS理解を深めるための取り組みもおこなっています。
参考サイト:
「0→1は個人、1→10はチーム」年300%成長企業ヤプリが明かす、SaaSの勝ち方 | SELECK [セレック]
弊社の事例で恐縮ですが、paizaも新しいメンバー受け入れ時にはオンボーディングを実施しています。一部をご紹介します。
基本的には受け入れ部署の先輩・上司や同職種の人からのサポートが中心になりますが、まだ人数がそれほど多くないため歓迎ランチで全員と1度は(Zoom上で)顔を合わせる機会があります。
中途社員であっても入社後のフォローは必須であり、できる限り早く本来の力を発揮してもらうためにはオンボーディングという取り組みが必要です。
しかし、それ以前にエンジニア採用で課題を感じている場合は、エンジニア採用専門のpaizaへお問い合わせください。
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