企業インタビュー 株式会社Mujin
産業ロボット知能化の最先端をゆくMujin
高いスキルさえあれば、たとえ宇宙人でも採用します!
今回は、産業用ロボットの頭脳にあたる「知能ロボットコントローラ」システムの開発とロボットシステムインテグレーションに特化したベンチャー、株式会社Mujinに伺いました。お話を聞いたのは、同社の執行役員で管理部長を務める小西 純也さん、そして、かつて本田技術研究所でロボットの開発研究を手がけ、昨年Mujin社にジョインしたロボティクス・エンジニア、碓井 渓(けい)さんのお二人です。世界の産業ロボットの知能化開発の最前線を走り、メンバーにも非常に高いスキルレベルを要求する同社。小西さんと碓井さんの双方に、この会社での働き方と企業風土、そしてロボット開発の「これから」を語ってもらいました。
トップランナー企業は、なぜ採用活動にpaizaを選んだのか
「世界に二人しかいない動作計画の天才のひとり」と評される、出杏光 魯仙(デアンコウ・ロセン)氏をCTOに擁し、世界の最前線で産業用ロボット向け知能ロボットコントローラの開発を行っているMujin社。当然ながらエンジニアチームには桁外れに高いスキルが求められ、世界中から精鋭のエンジニアたちが集まり開発が進められています。paizaでの採用条件でも、「新卒でもSランク限定、ここが最低ラインで本当はSSランクが欲しいくらい」と話すのは、ロセンCTOらとともに採用活動を担当する小西氏です。
――御社で求める人材はかなり特殊性・専門性が高いとお見受けしますが、paizaを使ったきっかけはなんだったのでしょう?
実は、採用活動自体はいろんなチャネルで積極的に行っていたんです。ただ、他の求人媒体ではなかなかマッチングがうまくいってなかったというだけで。paizaについても「とりあえず使ってみよう」と。これは我々の会社の社風ですね。結果としてマッチング率が高かったので満足しています。
技術開発をする会社にとって、そこで働くエンジニアのスキルは企業パワーそのもの。すなわち、ロボットコントローラのトップランナーである我々が求めているのも、当然ながら技術的に際立った、特殊な人材ということになります。ですので、システム化されたプログラミングテストで応募者のスキルレベルを測っているpaizaが、今までで一番成果が出ています。
――技術の最前線を走る企業として、面接ではどういうところを見ているのでしょう?
実験室や研究ベースのテクノロジーと違い、人間とともに働く産業用ロボットが活躍する生産現場では、24時間365日動作し続けることを求められるのが常識ですし、バグが起きてロボットが誤動作をしたら人が死ぬことがあり得ます。だから我々が仕事に求めるクオリティは非常に高く、その責任も重いのです。まずはこのような企業文化に合うかどうかが大切ですね。
実際に応募者の技術を見るのは最終面接の段階で、CTOのロセン自らがテストを課し、そのテーマについて面接をします。なお、エンジニアといってもロボット制御や画像認識に特化している人は、全エンジニアのうち2~3割くらいです。例えばMicrosoftやQualcomm、Oracle、Yelp等の海外本社で活躍していたシステムエンジニアやソフトウェアエンジニアなど、全方位から採用をしています。
――paizaを使ってみての感想をお聞かせください。書類選考がないのは不便に感じましたか?
書類選考がないのはまったく気にならないですね。そもそも書類があっても特にエンジニアはあまり見ていないと思います。むしろ本当にスキルがあるのか、プログラミング言語が合うか、そして我々とその人のやりたいことが一致しているか、だけが重要ですので。
そういう意味で、スキルチェックをベースとしたマッチングをしているpaizaは珍しい存在で、個人的に良いと思います。弊社としても、アルゴリズムの問題を重視しているpaizaのスキルチェックは合っていました。これまでいろいろな理由で日本人の採用は捗らなかったのですが、paizaを使ってからの1年間で2人の学生に内定を出しました。
paizaには技術レベルが高い人材が集まっている
――これまで日本人採用がはかどらなかった理由はどんなところにあるのでしょう? それと、paiza経由での応募者の特徴・傾向を教えてください。
まず、我々は年齢不問で募集をかけているのですが、特に日本ではキャリアとしての肩書きや職歴がとても立派なのに、現場ではなかなか手が動かないタイプの人がいて。スキルチェックでこうした応募者をフィルタリングできるのは、paizaのメリットだと思います。
また、paizaには他の媒体では会えないレベルの、非常に技術レベルが高い人材が集まっていると感じました。とても優秀な新卒から、あるテクノロジーの分野で本と言えるような本を執筆している人までいて驚かされます。
――応募者の技術レベルにご評価をいただいているということで、我々のスキルランクについてはどう見ていらっしゃいますか?
弊社の場合、エンジニアは開発のみに集中するというスタイルですので、エンジニア採用ではまずスキルを重視しています。Sランクを獲る人のなかでも特に力のある人が欲しいのです。ですから我々はスキルランクはもちろん、スキルチェックの回答内容、特に回答時間の早さを見ています。具体的には平均所要時間の3分の1、あるいは4分の1といったスピードで解いている人を積極的にスカウトしています。スキルさえあれば、年齢も国籍も関係ない。宇宙人でもいいくらいです(笑)。
――ありがとうございました。
元・ホンダの日本人エンジニアの働き方とは?
続いてご登場いただくのは、日本の高校を卒業してすぐに世界有数のロボット工学研究所を有する米カーネギー・メロン大学へ進学、2008年にロボット工学の修士号を取得。翌年の2009年から2016年まで本田技術研究所でロボットの開発研究を手がけていたという碓井 渓さん。気鋭の日本人ロボティクスエンジニアに、Mujinの独特な企業風土と、ともに働く個性的なエンジニアたち、そして自らが産業用ロボットの知能化にかける熱い思いを聞きました。
――まず、Mujinが事業として手掛けているプロダクトのことを教えてください。
我々は産業用ロボットのコントローラを作っているのですが、これまでのロボットというのは、どんな動きをするのかを教え込む「ティーチング」というプロセスが必要だったんですよね。つまりロボットに複雑な作業をさせるためには、ティーチングのために多くの手間と時間が必要だったのです。
Mujinでは、このコントローラの汎用性を高め、従来のようなティーチング作業をすることなくロボットを動かせるようにしました。Mujinのコントローラを使えば、ロボット自身が作業すべきモノを認識・判断し、自律して動作をするようになります。これは世界中でも我々にしかできない事業分野です。
代表的な例としては、集配センターのピッキング工程などにMujinのシステムが導入されています。この工程は物流で唯一自動化できないといわれていましたが、Mujinのロボットコントローラで自動化を実現しました。何万品種とある品物の複雑なパターンの組み合わせをロボット自身が判別して適切に梱包する、といったことができるようになったんです。
――昨今ではロボット技術の進化が話題になることが多くなりました。そのなかで産業用ロボットに特化した事業を行っている理由とは?
たしかに研究室レベルでは従来にない動きをするロボットも現れてきていますね。しかしそうしたデモンストレーションのための管理・整備された環境と、人間とともに働く現場とでは、求められている信頼性がまったく違うレベルになります。産業用の現場ではロボットだってミスは許されませんから。
コミュニケーションロボットも流行ってはいますけれど、自分たちの技術で実現できるものと、本当に今の社会が求めているもの、インパクトを残せるものをマッチングさせたら、やっぱり産業用ロボットだよね、というわけです。
――世界でもオンリーワンのロボット・コントローラを生み出しているMujinですが、そこで働く人たちや、働き方の話を聞かせてください。社内のエンジニアはどんな人たちですか?
エンジニアチームのメンバーは20名ほどでしょうか。日本語が通じるのはそのうち半分もいません。日本人は私を含めて3人だけですね。出身国はだいたい10カ国くらいになるのではないでしょうか。
「天才」と呼ばれるCTOのロセンを筆頭に、世界中から一流のエンジニアが集まっていて、プログラミング以外でも一流のスキルを持っているメンバーが多数在籍しています。例えば世界的な数学の大会やコンピュータゲームなどの分野で、海外の受賞歴がある人が何人もいます。
――そうすると社内公用語は英語でしょうか。どんなコミュニケーションをとっているのかが気になります。
はい。社内ではみんな英語です。働き方で特徴的なのは、エンジニアひとりひとりが個人でプロジェクトを任されており、あまりチームを意識することがないという点。会議も非常に少なくて、「朝会」と呼ばれる毎朝の朝礼でお互いの業務状況を確認します。
――どちらかというと個人主義的な印象を受けますが、組織構成や開発フローはどうなっていますか?
組織としては中央集権的であったり、複数人での分業制であったりということはないです。完全に個々のメンバーが責任を持って各々のプロジェクトを遂行する「文鎮型」のスタイル。開発の進め方はウォーターフォールというより、アジャイル開発に近い感じです。開発言語は主に「C++」と「Python」を使用しています。
それに、エンジニアの間でコミュニケーションがないということはなくて、ランチやお酒を楽しんだり、週末にはゲーム大会をしたりしているみたいです。Mujinに入社するにあたって会社の近所に引っ越してきた、というメンバーが非常に多いので、休日はご近所付き合いみたいになっているケースもあります(笑)。
ロボットで未来を変えることができる。一緒にモーターを回そうぜ!
――ロボットやAIに人間の仕事が奪われる、なんて話がよく聞かれるようになりました。はたして産業用ロボットの発展で未来はどのように変わっていくのでしょう?
たしかにそうした話を耳にすることもありますが、むしろ今の日本が抱えている問題は高齢化と人口減少による労働力不足のほうにあるのではないでしょうか。産業用ロボットにはそうした日本を救う力があると思っています。ロボットは仕事を奪うのではなく、労働力の供給が足りていない部分を補ってくれる存在なのです。
産業用ロボットの市場は世界では伸びているのに、日本国内では伸びていない。それはなぜかというと、複雑な仕事を求められる日本の現場では、従来のティーチングが必要なロボットにできることの限界が見えてしまって頭打ちになっているのです。ここには技術的なブレイクスルーが必要で、それを達成し世界を変えるのは我々Mujinだと思っています。
――最後になりますが、学生やロボット業界を志す人たちに伝えたいことがあれば。
産業用ロボットを作るというのは、社会貢献ができる仕事です。私自身がMujinに来たのもそういう理由で、社会に与えるインパクトの大きさにやりがいを感じています。ソフトウェアエンジニアは人手不足で、分野を横断していい人材の取り合いになっています。ゲームやWebサービスももちろんいいのですが、優秀で志のあるエンジニアには、ぜひ現実世界に影響を与えることに才能を使ってほしいのです。ぜひロボットを作る仕事を目指してもらいたい。皆さんの力でロボットが発展すれば、世の中を素晴らしい方向に変えることができます。
ロボティクスは間違いなくこれからも成長し続ける領域です。今でも、研究をして世の中にデモを披露して資金調達し……というところまでを実行している企業は多いです。ただ、その先にある人の役に立つところまでを実現できている企業はまだ少ないのではないでしょうか。
我々Mujinはきちんと現場に商品としての産業用ロボットを納めるところまでを事業としてやっている企業です。私がエンジニアや学生に言いたいのはこの一言だけ。
「さあ、一緒にモーターを回そうぜ!」
小西さん、碓井さん、ありがとうございました。世界最先端のエンジニアリング企業にいながらわかりやすい語り口で朗らかに話す小西さん、そして普段は寡黙なようでいて、ロボットとともに生きる未来を熱弁する碓井さんの熱い眼差しが印象的な取材でした。
Mujinはこれからも産業用ロボットの分野で世界を引っ張っていくでしょう。あなたもこれまで磨いてきたプログラミングスキルを使って、彼らとともに社会にインパクトを与える仕事をしてみませんか? 興味を持った方は、ぜひ一度求人票をチェックしてみてください。
Mujinのますますのご発展をお祈りしております。