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スペシャリストインタビュー 弥生株式会社 橋本武志さん

弥生のエンジニア組織の変換とこれから「すべては、お客さまに速く価値を提供するため」

1987年に登場した「弥生シリーズ」。それまでは手書きや電卓でおこなわれていたスモールビジネスの会計業務に、イノベーションを起こしました。弥生シリーズの登録ユーザー数は300万を超え 、24年連続売上No.1を記録。 多くの中小企業や個人事業主、起業家を支えています。

2020年からはエンジニア組織を大きく変革し、新しい取り組みも進んでいます。

エンジニア組織の変換とこれから目指す姿について、弥生株式会社 執行役員 開発本部長の橋本さんにお話をうかがいました。

製品の特性によって、開発プロセスを選択

――橋本さんは、どのような業務を担当されているのでしょうか?

弥生株式会社(写真)

執行役員と開発本部長として、経営や開発に責務があります。具体的には、中期経営計画の策定と実施、組織改善、評価面談、予算、採用、PMOなど様々です。お客さまへ、いかに速く価値を届けられるかを考えています。

――開発本部の体制と特徴を教えてください。

開発本部には正社員が約200名所属しており、業務委託や派遣の方を含めると約380名の体制です。新しいサービスを開発するチームと既存の製品・サービスを開発するチーム、情報システムを開発するチームがあり、それぞれ同じ割合の数のメンバーが所属しています。2023年7月より、新しいサービスを開発するチームを次世代本部として部門を分けました。背景は後述します。

製品の特性によって開発プロセスを変えていることが、組織としての特徴です。弊社の製品にはデスクトップ製品やクラウドサービスはU字プロセスを導入し、新サービス開発にはスクラムを導入しています。

デスクトップ製品とクラウドサービスは、ウォーターフォールとアジャイルのいいところを組み合わせた「U字プロセス」という開発プロセスで進めています。デスクトップソフトは店頭に並ぶ製品でもあるので、品質重視です。一方、新規サービスやモバイルアプリなどははスピード重視なので、製品・サービスの特性に合わせてプロセスを決めています。

弥生株式会社(写真)
U字プロセスの流れ

コロナ禍が落ち着いても、会社としてリモートワークは継続

――御社の働き方について教えてください。

95%の社員がリモートワークで、出社している人は少ないです。とくに会社がリモートワークを推奨しているわけでも、出社を推奨しているわけでもありません。結果の出しやすい働き方を、本人に決めてもらっています。

ただ、チームワークを高めるためのコミュニケーションやディスカッションは、出社して対面でおこないますね。

リモートワークは会社として制度化しているので、「リモートワーク環境整備補助金」と「リモートワーク手当」が支給されます。リモートワーク環境整備補助金は入社月に一律50,000円、リモートワーク手当は最大7,500円を出勤日数に応じて支給しています。

最近はリモートワークを見直す動きも一部の会社ではありますが、弊社ではリモートワークを継続していきます。

――ほとんどの方がリモートワークなんですね。新卒入社の方々も、入社してすぐにリモートワークなのでしょうか?

弥生株式会社(写真)

新卒入社の方々に関しては、何もわからない状態で入社して不安だと思うので、はじめのうちは対面で仕事をしながら学んでもらいますね。プロジェクトにアサインされてからは、リモートと出社をバランスよく使い分けてもらいます。

弊社のリモートワークには特徴があり、プロジェクト単位でZoomのミーティングルームをつなぎっぱなしにしていて、全員に入ってもらっているんです。そのルームに行けばプロジェクトメンバーがいるので、気軽に相談ができます。

新しく入った方のなかには、「Zoomをつなぎっぱなしにするのは、監視されているみたいで嫌だ」と感じる方もいます。ただ、3か月経ってから面談すると、約9割の方が「Zoomをつなぎっぱなしにするのは、コミュニケーションが取りやすくていい」と言ってくれていますね。

この取り組みをはじめた背景には、コロナ禍に気分が落ち込んでしまう社員が多くいたことがあります。外出制限があり、一日中誰とも話せない時期がありましたよね。会社にいるときと同じように隣の席に人がいるイメージで働いてもらえれば話しやすいと考え、取り組みをはじめました。

――テクノロジースタックは、どのようなものを採用しているのでしょうか?

採用するプログラム言語や開発環境は、エンジニアの声を重要視しており、開発するものの特性を考慮したうえで、担当チームのエンジニア、アーキテクト、CTOなどが相談して決めています。

弥生株式会社(写真)
弥生株式会社が採用しているテクノロジースタック

テクノロジースタックの採用基準としては、長く残るであろうものを選んでいますね。以前、開発に使用していたフレームワークのサポートが終了してしまったことがあるので、その反省を活かしているんです。

同時に新しい技術への挑戦もしています。新しいサービス開発プロジェクトが始動する際には技術選定を行い、そのプロジェクトに最もふさわしい技術を採用するようにしています。プログラミング言語に限らず、開発環境やサーバに関しても、エンジニアの声を聞いたうえで最新技術に挑戦しています。

自律できる自己組織化を目指す

――御社ではエンジニア組織の変革があったとうかがっています。どのように変わったのでしょうか?

働く雰囲気は、大きく変わったと思います。2020年にわたしが執行役員 開発本部長に就任してから、方針を変えました。

言われたとおりにやるのではなく、社員が自律して行動することが大事です。そのために、自律できる自己組織化を目指しています。言われたことをやるのではなく、自分で考えて動ける組織です。

そうなってもらうために、前提や制約・ルールを見直して、挑戦と失敗を繰り返してもらう取り組みをおこなってきました。以前は失敗すると非難される雰囲気がありましたが、失敗してもいいから行動するというマインドを持ってもらうため、心理的安全性を向上させることを意識しました。3年間取り組んできて、ようやく雰囲気も変わってきたと思います。

新たに、もう1つ変化を加えました。いままではプロダクトをつくるときに、開発・マーケティング・カスタマーセンターの各部署からメンバーをアサインし、プロジェクトを発足させて動いていましたが、所属部署とプロジェクトの兼務になり、どうしても判断に時間がかかってしまいます。

そこで、2023年7月から新しいプロダクトをつくるための部署「次世代本部」を設置しました。これにより部署間の調整がなくなり、意思決定のスピードも速くなります。

次世代本部以外の部署に関しても、いかに生産性を上げていくかを求めています。

会社負担でラスベガスのイベントに参加できるチャンスも

――組織づくりには人材採用が欠かせません。エンジニアの採用で意識していることを教えてください。

わたしたちが掲げているミッション・ビジョン・バリューの実現に向けて、一緒に働きたいと思ってもらえるか。これが大前提にあります。

個の能力も大事ですけど、チームで働けるかはさらに重要です。会社である以上、1人で仕事をすることはありません。

自律して動けることと、ものづくりを楽しめることも必要です。やらされてつくるのではなく、熱中できるかは大事ですね。

――どうせ仕事するなら熱中できたほうがいいですよね。エンジニアの育成についても教えてください。

 
弥生株式会社(写真)

育成には、AWSさんの開発教育プログラムの「DevAx」を使わせてもらっています。これはAWS上でのクラウドネイティブアプリケーションの設計や移行、プロトタイプや運用について4日間体験し、最後にGamedayというイベントをおこなうものです。Gamedayでは楽しみながらAWSのトラブルシューティングを実践的に経験することが出来ますし、プログラム全体を通して非常に実践的な内容になっています。

日本企業では弊社がはじめての参加となり、100名以上のエンジニアが学びました。普段もAWSを好きに使えるよう、開発環境を開放しています。

資格取得の補助や外部の勉強会に参加してもらう取り組みもあります。勉強会の参加は業務時間中でも問題ありません。

学んだ内容は、毎月第一営業日に開発本部と次世代本部が合同でLT大会をしているので、そこで発表してもらっています。表彰制度も作りました。従業員の投票で選ばれると賞金も出ます。

昨年は本部長賞受賞者と上記の従業員投票1位のメンバーがラスベガスに行きました。

――ラスベガスですか! それは、交通費や宿泊費も会社が負担してくれるのでしょうか?

はい、すべて会社が負担します。昨年はさまざまな選考を経て、合計で6名がラスベガスに行きました。今年も複数名が参加する予定です。現地の温度感を体験することは大事だと思っています。

お客さまに速く価値を提供するため変化に対応し続ける

――橋本さんが感じている会社としての課題はありますか?

弊社は1978年に創業されており、IT企業としては歴史が長いので、どうしても堅いイメージがあることが課題です。ただ、実際はリモート率が約95%だったりモダンな技術を使っていたりと、エンジニアにとって働きやすい環境です。実際の環境や新しい取組みを社内外に発信し、多くの人に知ってもらいたいと考えています。

――今後、エンジニア組織として目指している姿を教えてください。

個人でできることは限られるので、組織を見直しています。さきほどお話しした次世代本部は、その取り組みの1つです。さらに取り組みを進めながら、改善を繰り返していきます。

競争が厳しくなっているなかで、いままでおこなっていたことが当たり前ではありません。変化に対応し続けるためにも、グロースマインドが必要になります。今度もお客さまにより速く価値を提供するために組織として取り組んでいきます。


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