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スペシャリストインタビュー セーフィー株式会社 森本数馬さん、下崎守朗さん

「セーフィーというインフラを作りたい」CTOが語る展望

PCはもちろん、スマートフォンやタブレットといった端末からも「いつでもどこでも」映像をチェックできる防犯カメラシステムとして注目を集める『セーフィー(Safie)』。

このサービスを手がけるセーフィー株式会社はソニーグループ出身の3人によって2014年に創業。そしてサービスの根幹部分は創業メンバーである2人のエンジニア、森本数馬さんと下崎守朗さんによって作られたものです。現在ではCTOとしての役割も務めるお二人に、セーフィーというサービスに込めた思い、そしてエンジニアとして、CTOとしての心構えについて、お話を伺ってきました。

※同社に転職された方と同社CEOの佐渡島隆平さんによる座談会も掲載中です。こちらからご覧いただけます。



(左)森本数馬さん
セーフィー株式会社 取締役CTO
(右)下崎守朗さん
セーフィー株式会社 取締役CTO

CTOの仕事の難しさとは

――最初に、現在のお仕事に就かれるまでの経歴をお聞かせください。

下崎さん: 僕の場合はソニーの木原研究所を経てソニー株式会社の本体に勤務し、その後は画像処理システムを手がける企業の米国法人立ち上げに参画しました。それからやはり画像に関連したモーションポートレート株式会社に転職。そこで現CEOの佐渡島、そして森本と一緒になり、そこからセーフィーを創業したという流れです。

森本さん: 僕は最初ソニーで営業職に就いていたのですが、途中からエンジニアにキャリアチェンジしました。退職後は一時期別の会社を経て、その後に下崎と同じくモーションポートレートへ入社。そこからセーフィーの創業につながっていきました。

――さっそくですが、お二人のCTOとしての業務というのはどういった内容なのでしょう。

森本さん: 実は自分たちでは「CTOをやっている」という感覚があまりないんです。初期はそれこそ営業も含めてなんでもやっていましたけど、スタッフの人数も増えて、やることの範囲は狭くなってきました。現在自分たちの業務の半分以上はエンジニアとしての開発業務です。プロジェクトのマネージメントもやるエンジニアといった立ち位置でしょうか。

――とはいえ、ただのPM、PLとは立場が違うかと思います。お二人が考えているCTOという役職に求められている役割、そして難しいと感じているところを教えていただけますか?

森本さん: 個人的には、営業やサポートメンバーも含めて、チームがビジネスとしてうまく回るようにする、というのはいつも気にしているところです。

かつては自分たち3人がすべてを理解していたこともあり、全部自分たちが力技でやっちゃえば回っていきましたけれど、関わってくれる人数が多くなってきたので、新しい人たちにもわかるように、やりやすいようにしていかないといけない。前職でもマネージメントはやっていましたが、今のCTOという立場では次に何をすべきかを考えるのが一番難しいです。経営的な視点を持たなければいけませんし。

下崎さん: 役割としては、リソースが限られているなかで、それぞれのスタッフがやりたいことを探してあげることかな、と思います。それって本人たちもわかっていなかったり、気付いていなかったりもするので、働く環境づくりも含めて頑張っているところですね。森本も言ったとおり、CTOとは経営者でもあるので、プロジェクトをただ回すだけでなく、ビジネスとして成り立たせるためにどうしたらいいのかという判断も同時にしていかなくてはいけません。そこが難しいところですね。

セーフィー株式会社(写真)
ともに「自分をCTOらしいCTOだとは思っていない」と話すお二人。
しかし、共同創業者としてしっかりとしたビジョンをもちながら経営に携わっています。

圧倒的に安価でありながら圧倒的に高品質

――ここで、改めてセーフィーの事業内容を教えてください。

下崎さん: セーフィーで開発しているのは、クラウドベースのビデオプラットフォームです。現在は主に監視カメラの用途でご利用いただいています。我々はあくまでメーカー向けにファームウェアの開発のみをやっていて、ハードウェアはまったく作っていないのが特徴です。

――ハードウェアを作らないのにはどんな理由があるのでしょうか?

下崎さん: やはりハードウェア開発にはお金がかかりますし、なんといっても創業者が3人とも元々ソニーにいましたので、我々の規模でソニーに真正面から対抗するのがありえないことだというのは、よくわかっていますから。

――同様のサービスと比較しての強み、差別化できているところを教えてください。

森本さん: 大きな特徴として、まず映像が圧倒的にきれいです。にもかかわらず、費用も他のサービスより安い。従来ですと導入に何千万円もかかっていたようなものが、セーフィーならLTEのルーターと対応カメラをポンと置くだけで実現できます。カメラ1個も2万円くらいですし、ランニングコストは月々数千円しかかりません。さらに、撮影された全データをクラウド上で管理していて、権限設定がしっかりしているのも強みです。月々数千円で銀行レベルのセキュリティ強度のあるネットワークカメラを導入できるのです。

企業はもちろん、安価で設置が楽なので個人でのご利用も増えています。Amazonでもセーフィーの対応カメラを売っていますので、導入も簡単ですよ。今のところ、ビジネスとしてはBtoBの比重が大きいですけれど、BtoCにも注力しています。アプリも一般ユーザーを意識した作りにしています。

約10億円の資金調達を実施

――具体的なパートナーや導入実績などをお聞きしたいのですが。

下崎さん: ネットワークカメラで最大手のアクシスさんにもファームウェアを提供しているなど、現在パートナー企業は50社以上になりました。対応カメラは200機種以上になり、1万台ほどが流通しています。実際に各地の道路監視や、六本木商店街などですでに導入いただいています。また、熊本の地震の現場でも我々のシステムが活用されました。

そして2017年9月28日にはオリックス株式会社、関西電力株式会社、キヤノンマーケティングジャパン株式会社、NECキャピタルソリューション株式会社が運営するファンド、株式会社ティーガイアなどに対する第三者割当増資によって、総額9.7億円の資金調達をおこないました。

――高品質で低価格という、他を圧倒するサービスに見えますが、技術的にどうやって実現しているのでしょうか。

森本さん: 全部のサーバを自前で作るなどして、低コストを実現しています。特にサーバの知識がある方からは、この価格でやっていると言うと大変驚かれますね。ビジネスを継続的にやりながら、この規模の技術開発をしているのは、ひとつの強みなのかな、と思います。

下崎さん: これまでのネットワークカメラとは完全に違う仕組みを作ったことで、セキュリティが強固であることも我々の強みです。セーフィーの通信はすべて独自プロトコルでおこなっています。セキュリティとは1カ所でも穴があればそこから侵入されてしまうものですが、システムをトータルでフルスクラッチ開発しているおかげで、なにかあったときもすぐに対応することができます。

――逆に、現在課題と感じていることはありますか?

森本さん: さすがにだんだんシステム規模が大きくなってきて、扱うデータ量も膨大になってきました。それでもサービスの性質上、システムを停止させるわけにはいかないので、切れ目なく継続していくための手法などを試行錯誤しているところです。

――セーフィーの今後の展開について教えてください。

下崎さん: 創業時に「こうしていこう」と決めていた想定があるのですが、現時点ではまだまだ半分くらいにしか到達していない感覚です。しかしプラットフォームとして、ビジネスの基盤を作ることはできたと思っています。あとはもっとオープンなところへ出ていって、広くみんなに使ってもらえるようにしていきたいですね。「Powered by Safie」をもっと増やせるといいな、と思います。プラットフォームであり、かつインフラであるという存在になりたいんです。

森本さん: 本当にユーザーの求めるものを届けられるように、まだまだやることはあります。たとえば、ユーザーの話を伺っていると、単に映像をずっと撮りたいわけではなく、「なにか異変があった時の映像」だけが欲しいという声も多いんです。そこで、画像認識の技術などを使って、ユーザーが本当に知りたい情報を最適に提供できるようにして、そこを付加価値としていく、なんてことも考えています。

セーフィー株式会社(写真)
いずれはセーフィーを使って「空間をつなぎたい」と話す森本さん。
違う場所にいる人たちがカメラを通じて、さも同じ空間にいるような体験をできるようにしたいのだそう。

お二人が考える「いいエンジニア」とは

――ここで御社のエンジニア採用についても少しお話を聞かせてください。CEOの佐渡島さんに聞いたところ、お二人から入社希望者に課しているコーディングテストがとても厳しいとのことでした。お二人がエンジニアに求めているスキルレベルなどをお聞きしてもいいですか?

下崎さん: そんなつもりはないんですけどね(笑)。一応コーディングテストとしてやってもらってはいますけど、コードを書けるかというより考え方や取り組む姿勢を見るために実施しています。チームで仕事をするので「この人と一緒に働けるか、一緒に働きたいか」を重視しています。

森本さん: 問題の内容は、自分自身が組み込みシステムなどの下回りをやってきていることもあって、プリミティブなものが多いかもしれません。得意不得意もあるとは思うので、単純にテストの結果だけで判断することはないですし、あくまで取り組み方・考え方を見ています。逆に、技術レベルは高くても弊社に合わないんじゃないかな、という方もいますから。

――ちなみに、お二人にとっての「いいエンジニア像」ってどういったイメージでしょうか。

下崎さん: ひとつのことにこだわるだけじゃなく、さまざまなことに次へ次へとチャレンジできる人はいいエンジニアだと思いますね。世の中の移り変わる技術が好きで、その流れについていける人ではないでしょうか。

森本さん: 僕も近い考えです。こだわりを持っているエンジニアは多いですけれど、自分が大事にしているのは柔軟性。求められていることに対して、時には自分のこだわりを抑えながら、柔軟に対応できる力がある人がいいエンジニアだと思います。メリハリをつけて開発ができる人ともいえます。

――最後に、セーフィーに応募しようと考えている求職者へのメッセージをお願いします。

森本さん: うちのビジネスを面白いと思ってくれる人がいれば、ぜひ話を聞きに来てほしいですね。幅広い技術的要素がある事業ですし、ビジネス的な側面も含め、挑戦しようと思えばいくらでもできる環境です。前向きな姿勢でいろいろやってみたいという方を待っています。

下崎さん: あとは優秀なCTOを雇いたいですね(笑)。他社のCTOの方々を見ていると、会社全体の底上げや、エンジニアがうまく働けるための組織作りをうまくやっていると感じることが多々あって。それは自分にはできていないと思うので。我こそは、と思う方がいればぜひ(笑)。

セーフィー株式会社(写真)
お忙しい中、お時間をいただきありがとうございました!

森本さん、下崎さん、ありがとうございました。

エンジニア、そして経営者でもあるCTOの立場から、技術やビジネスについて、存分に語っていただきました。キャリアステップのひとつの形として、CTOを目指しているエンジニアは少なくありません。お二人のその言葉のひとつひとつが胸に響いた方も多いのではないでしょうか。彼らのもと、裁量をもって技術を伸ばしていきたい、ビジネスも考えられるエンジニアになりたいと思われた方は、ぜひともセーフィーの門を叩いてみてください。

セーフィー株式会社のますますの発展をお祈りしております。


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