「エンジニアに必要なのは技術力」と思われるかもしれませんが、面接では身だしなみや態度なども「この人は社会人としてちゃんとしているか?」「採用しても大丈夫か?」という判定基準となります。
スキルで勝負するためにも、基本的な人物面でもったいない減点をされてしまわないよう、4つのポイントを確認しましょう。
ポイント1:柔軟性、吸収力
求人の募集内容にぴったり当てはまる応募者というのは、それほど多くありません。
面接官目線で見ると「この人はA分野の経験は足りないが、B分野のスキルは優れているな」といった応募者がほとんどです。重視されるのは「足りない部分を補える柔軟性や吸収力があるかどうか」です。
例(1)
自分の意見を主張することが多い人
NG理由
自分の意見が周囲と対立したり、指摘を受けたりした時に、素直に受け入れることができていますか。もちろん明らかに周りの人が間違っている場合は、説得して理解してもらう必要もあるかと思います。
ただ、「自分が絶対に正しいから、違う意見は受け入れない」「自分の意見を押し通したい」という考えがあると、「柔軟性のない人なんだな」と思われてしまいます。
他人の意見も一度は受け入れ、整理して考えましょう
自分と異なる意見を言われても、「それは間違っている」「その案にはこんなデメリットがあるからダメだ」と頭ごなしに否定してはいけません。相手の考えと自分の考えは、それぞれどこが正しくてどこが間違っているのか、どんなメリットとデメリットがあるのか、冷静に整理して考えるくせをつけましょう。
自分の意見を押し通そうとするのではなく、相手の指摘も理解したうえで、改めて自分の考えをまとめることが重要です。普段から意識していないと、面接の場で何らかの指摘を受けた時に「自分の考えが正しいので改めるつもりはない」という態度が出てしまうので、注意しましょう。
例(2)
何でも否定から入ってしまう人
NG理由
物事を否定的に考える人は、「新しい情報や考えを吸収できない人」だと思われがちです。面接官から提案や指摘を受けても「いや、それは違うので…」と否定から始めてしまうと「自分の考えを曲げない柔軟性のない人」「周囲の意見を取り入れようとしない人」という印象になってしまいます。
否定語から話し始めるのはやめましょう
何か指摘を受けたとしても、「でも」「いや」「しかし」「だって」といった否定的な言葉で話し始めるのはやめてください。かわりに「なるほど」「そうですね」といった肯定的な言葉で、いったん相手の意見を受け入れる態度を見せましょう。「他人の主張も冷静に受け入れられる人なんだな」という印象になります。一呼吸置いて考えを整理するのもよいでしょう。
自分と異なる意見にすぐ反論や否定をしたくなる人は、ぐっとこらえて、ゆっくり返答することを意識してください。
例(3)
面接の想定問答を暗記しているまじめな人
NG理由
事前に想定質問の回答を用意しておくのはよいことですが、それが逆に失敗を招いてしまうケースもあります。とにかく準備してきた内容をすべて話そうとすると、面接官の質問からずれた回答になってしまい、「こちらの質問を聞いていないのかな」「融通がきかない人だな」という印象になってしまいます。
「模範解答」よりも「自分の軸」を整理しておきましょう
事前に暗記してきた文章や、あたりさわりのない模範的な回答だけでは、面接官の印象には残りません。面接対策とは「完璧に見える模範解答を準備しておくこと」ではありません。
必要なのは、自分の中で「何ができるのか」「何がしたいのか」「なぜこの企業に応募したのか」といった、今回の転職における「自分の軸」を整理しておくことです。これらがはっきりしていれば、どんな質問が来てもそれほど回答に困ることはないはずです。
ポイント2:誠実さ、真面目さ
面接を通過するには、面接官に「この人と一緒に働きたい」と思ってもらわなければなりません。「不誠実な人だ」という印象になってしまうと「一緒に働きたい」とはなりませんから、最低限のマナーには気をつけましょう。
例(1)
相手の目を見て話すのが苦手な人
NG理由
目を見て話せないと、「何かやましいことがあるのでは?」と思われてしまいます。もともと話すのが苦手な人や、単に緊張している場合もあるかと思いますが、目を見て話せないと「不誠実で、話していて不安」という印象になってしまいます。
なるべく相手の顔を見て話せるようになりましょう
普段から話すのが苦手な人が、いきなり本番で面接官の目を見て話すのは難しいかと思います。できれば面接の日までに、人の目を見ながら話す訓練しておきましょう。
目を見て話すと言っても、ずっと目を離さずにいる必要はありません。まずは話の区切りや、相手から質問されたタイミングで視線を合わせられるようにしましょう。どうしても目を見て話すのが苦手な人は、せめて背筋を伸ばし、顔をあげて、相手の額や鼻先などを見るようにしましょう。
例(2)
あいさつや笑顔がない人
NG理由
人の印象は、第一印象で決まります。ほとんどの面接官は入室時にあいさつをすると思いますが、ここであいさつを返さなかったり、返していても声が小さすぎて相手に聞こえなかったりすると、不誠実で不真面目な印象になってしまいます。
あいさつは基本です。相手からされたらきちんと返しましょう
相手にあいさつをされたら、必ずあいさつを返してください。もちろん自分から先にあいさつをするのもよいでしょう。自分から話すのが苦手な人は、せめて相手にあいさつをされたら必ず返すようにしてください。
できれば最初だけでなく、面接官が会社の説明を始めるときには「よろしくお願いします」、自分が話す時には改めて「本日はお時間をいただきましてありがとうございます」などといった定型文をはさむようにしましょう。
できる限り笑顔を交えて話しましょう
自分のやりたいことや将来の目標を話しているのに暗い顔をしていると、「本当にやりたいのかな」と思われてしまいます。特にやりたいことや長所などの明るい話題を話すときは、ときどきでも笑顔を交えて話すことで、印象をよくすることができます。面接では、話の内容も重要ですが、それ以外の視覚から伝わる印象も同じくらい重要です。できるだけ笑顔で話す練習をしておきましょう。
例(3)
言葉遣いがラフな人
NG理由
面接官の話を聞いているときや、会話が盛り上がったときに、つい「まじっすか」「やばい」などとラフな言葉づかいになったり、敬語が崩れたりしていませんか。
ラフな言葉づかいをすると、一見相手との距離が縮まったように思えるかもしれませんが、相手は面接官です。面接の場では、お互いのことを深く知っているわけではないのですから、敬意を持って節度のある言葉づかいをしないと「社会人として基本的なマナーがなっていない不誠実な人」と思われてしまいます。
面接で必要なのはビジネス会話です、丁寧な言葉を使いましょう
面接は、自分を売り込む「ビジネスの場」だと思ってください。普段あまりビジネス会話をしていない人も、敬語・丁寧語を意識しましょう。もしうっかりラフな言葉づかいをしてしまった場合も、素直に「不適切なことばを使ってしまい、失礼いたしました」と訂正できれば、問題ありません。
ポイント3:忍耐力、ストレス耐性
企業は応募者のことを「採用したらこの会社で長く働いてくれるだろうか」という視点でも見ています。定着性やストレス耐性はどこで判断されているかを知り、対策しておきましょう。
例(1)
転職経験が多い人、一社での在職歴が短い人
NG理由
転職回数が多くても、前職での社歴が短くても、「キャリアにおいて必要な転職だったんだな」と納得できる理由づけができていれば、問題ありません。しかし、客観的に見て納得感のある転職理由が話せないと「少し嫌なことがあったらすぐに辞めてしまう人なんだな」と思われてしまいます。
過去の転職理由はポジティブな内容にしぼり、素直に反省の意を伝えましょう
過去は変えられませんが、転職理由はポジティブな内容であることが重要です。「どの会社も環境が悪かった」などと周りのせいにせず、「このときは○○の経験を積みたかったので転職しました」などと前向きな理由を話しましょう。
前向きな内容が思いつかない場合は、「正直言って当時の自分は考えが浅く、軽い気持ちですぐに辞めてしまったことを反省しています。今はやりたい仕事が明確になったので、長期的に考えたキャリア構築をしていきたいと思っています」などと、素直に反省していることや、今は考え方が変わっていることを伝えれば、それほど悪い印象にはなりません。
例(2)
転職理由が「やりたいことができないから」な人
NG理由
都合が悪いときに「自分ではなく周りに責任がある」と考える、他責思考な人に多いケースです。企業は「やりたいことがあるなら、できるように自分から努力する人」を採用したいと考えています。「今の会社ではやりたいことができないから」というだけの転職理由だと、「自分では努力せず、周りのせいにする人」「忍耐力がなく、すぐに諦めてしまう人」と思われてしまいます。
やりたいことのために自分から働きかけたことを話しましょう
「この技術を導入したいと上司に提案したけど取り合ってもらえなかった」「やりたい分野の開発チームへの異動を希望したけど叶わなかった」といった「やりたいことを実現するために、自分から会社や周りに働きかけた経験」はありませんか?
ささいな取り組みでもよいので「自分から起こした行動」と「実現できなかった理由」を思い返してみましょう。この「実現できなかった理由」が、全社的な事業の方向性やビジネスモデルなどの「自分の努力だけではどうにも変えられない部分があったので実現できなかった」という理由だとさらに説得力が出ます。
ポイント4:清潔感、アピアランス
第一印象のほとんどは、視覚から入ってくる情報で決まります。いくらスキルが高い人でも、第一印象が悪いと「一緒に働きたくないな」と思われてしまいます。もったいない減点をされてしまわないよう、最低限のポイントは押さえておきましょう。
例(1)
「エンジニアは楽な服装でいい」と思っている人
NG理由
「私服で面接OK」という企業にスーツで行く必要はありませんが、「なるべく楽な格好をしたい」「服装なんてどうでもいい」とは考えないでください。
面接には、エンジニア以外の人や、その企業の役員が参加する場合もあります。私服OKな企業でも、最低限「社会人として、うちの社員として問題ないか」は見られています。「身だしなみなんてどうでもいい」という自分本位な人は、スキルを見てもらう以前の段階で落とされてしまいます。
身だしなみは社会人として信頼されるための第一歩です
エンジニアにとってスキルはもちろん大切ですが、まずは「社会人として、社員として、この会社に入れても問題ない」と思ってもらう必要があります。これをクリアできないと、どんな業界でも、どんな職種でも、採用してもらうことはできません。社会人として周囲からの信頼を得るためには、身だしなみも最低限のマナーです。
「だらしない」と思われる格好や行動は避けましょう
だらしないと思われてしまうポイントはいくつかあります。たとえば
- 服がしわくちゃ、髪がボサボサ
- かばんや靴が汚い
- 遅刻や忘れ物をする
- 汗をだらだら流したままでいる
私服で面接OKの企業にスーツを着ていく必要はありませんが
- しわしわのTシャツではなく、普段よりきれいな服装を心がける
- 前日と家を出る前には持ち物を確認する
- 迷っても大丈夫なように少し早めの時間に出る
- 汗をかいていたらハンカチでふき、息を整えてから訪問する
例(2)
立ちふるまいに気を使いたくない人
NG理由
見た目に清潔感があっても、言動によってだらしないと思われてしまう場合もあります。普段からくせになっている人もいるかもしれませんが、面接中にひじやほおづえをついたり、貧乏ゆすりやペン回しをしたり、体が傾いていたりすると、「だらしない人だな」と思われてしまいます。
背筋を伸ばし、笑顔で丁寧に話すようにしましょう
まずは背筋を伸ばして顔を上げ、なるべく笑顔で話すことを心がけましょう。それだけでも、だらけた姿勢でいるよりは「ていねいに話そう」という意識がわいてくるかと思います。また、立ちふるまいもきちんとして見えるようになるので、面接官からの印象もよくなります。