開発業務へのモチベーションや転職後の意欲を伝えることは非常に重要です。
エンジニアとしてどんな転職を叶えたいのか、次はどんな仕事がしたいのか、しっかり伝えられるようにポイントを押さえておきましょう。
ポイント1:やる気、意欲
意欲が伝わらずNGになるのは、前職への不満から転職を考えている人、転職してやりたい仕事についてしっかり考えられていない人に多いパターンです。また中途採用では、転職理由や面接中の態度などもモチベーションの高さや転職意欲の判断材料になります。
例(1)
転職理由や志望動機が年収や福利厚生など条件面だけの人
NG理由
誰だって転職するならよりよい条件のところが望ましいでしょう。ただし好条件を求めるのであれば、それなりの成果と再現性が必要になります。
「何もできないけど条件だけよくしてほしい」というのは、企業目線で考えると虫のいい話であり、「待遇だけが条件で、特にやりたいこともないなら、今後も意欲的に学んでエンジニアとして成長していくのは難しいだろうな」と思われても仕方ありません。
転職理由や志望動機はやりたいことやキャリアプランをもとに話しましょう
条件の話をしてはいけないというわけではありませんが、志望動機や転職理由を「待遇をよくしたいから」だけで終わらせないようにましょう。「この分野に興味があって、こんな開発がしたいから」と、やりたい仕事や今後のキャリアをもとに話せると、仕事や転職への意欲が伝わります。
どうしても条件面以外の転職理由が思いつかない場合は、逆に言えば前職の業務内容には不満がないということです。その際は「現職では◯◯の仕事をしています。この分野にはこのようなやりがいがあり、技術への興味もあります。しかし現職では、評価や給与レンジが現状以上には上がらず、成果が出ても評価を得られません。もっと正当な評価が受けられる環境に挑戦したいので、転職を決意しました」などと、仕事自体への意欲を伝えられるとよいでしょう。
例(2)
とにかく「やりたいです!」と言うだけの人
NG理由
「やりたい」というアピールは重要ですが、転職では「やりたいこと」よりも「できること」が重要です。「やりたい」だけなら誰でも言えます。実務経験のあまりない分野へ挑戦したい場合も、「どんな分野なら経験があって、どれくらいのことができるのか」「挑戦するためにどんな勉強や取り組みをしているか」などを言えるように整理しておきましょう。
これがないと、企業側も「本当にやりたいと思っているのか」「今はできないこともこれからできるようになってくれそうか」が判断できません。
「やりたいこと」と「できること」をひもづけて整理しましょう
内定が出やすいのは、自分が「今できること」と「これからやりたいこと」をひもづけて、ストーリーとして話せる人です。
たとえば「これまで受託開発で顧客の要望を吸い上げ、形にする仕事をしてきました。BtoCのWebサービスでも、ユーザーの要望を吸い上げ、どんな形で実現させるかを考えることは重要だと思いますので、これまでの経験が生かせると考えております。Web開発の実務経験はありませんが、独学で勉強をして、このようなWebサイトを作りました」というように、これまでの経験とこれからやりたいことをひもづけることはできます。自分が今までやってきたことを振り返り、経験とスキルの棚卸しをしましょう。
具体的にアピールできるエピソードを用意しましょう
「とにかくやりたい」と言うだけでは、やる気は伝わりません。それよりも具体的に取り組んでいる内容を話せるようにしましょう。特にエンジニアは、自分で触って試していることが重要視されます。「自分なりにこの分野の勉強をして、こんなツールを作ってみました」など、動くものを面接官に見せられると意欲が伝わりやすくなります。
そこまでできていない場合も、「◯◯という書籍で□□言語の勉強をしていて、△△の処理は作れるようになりました」というように、何で勉強しているか、どこまで進んでいるかが話せるとよいでしょう。
例(3)
静かに相手の話を聞いている人
NG理由
面接官が話しているときに反応が薄いと、自分ではじっくり真剣に話を聞いているつもりでも、「うちの会社に興味がないのでは」と不安に思われてしまいます。
また、説明の後で質問がない場合も同様に「うちの会社に興味がないんだな」と判断されてしまいます。
リアクションを取り、説明を受けた後はできる限り質問をしましょう
面接官から会社の説明を受ける時は、「メモを取ってもいいですか」と聞いてみたり、ときどきうなずいたり、視線を合わせたりして、相手の話を理解しながら意欲的に聞いている姿勢を見せましょう。また、「なにか質問はありますか」と聞かれた場合はなるべく質問をしましょう。これから入社するかもしれない会社の話を真剣に聞いていれば、質問や気になることが何も思いつかないということはないはずです。
たとえば「配属予定のチームは何人構成ですか」「どんなバックグラウンドの人がいますか」といった質問は、どんな企業でも聞けますし、具体的にそこで働くイメージをするのにも有効です。質問事項は、面接前に企業の情報を調べながら、できれば3つほど準備しておきましょう。
ポイント2:責任感、当事者意識
エンジニアに限った話ではありませんが、仕事で成果を出すには責任感や当事者意識が不可欠です。面接官はいろいろな質問を通して「この人は仕事に対して責任感や当事者意識があるか?」を判断しています。仕事に対する意識がより伝わる受け答えを考えましょう。
例(1)
転職理由が「やりたいことができないから」だけの人
NG理由
たとえば、「Web系の仕事をやりたいけど、前職ではやらせてもらえない」といった理由で転職を希望する人は少なくありません。しかし、転職理由がそれだけだと、企業側にはただのわがままにも聞こえます。
「営業がやりたい案件をとってこなかった」「会社の環境が悪かった」などと他責思考な人は、面接でも敬遠されてしまいます。
転職理由は他責ではなく「これから何がしたいか」で考えましょう
前述の例の人であれば、「これからはWeb開発の仕事をしたいと考えて、こんな勉強をしています。しかし、現職の事業内容は、金融系の内部システム開発に絞られていくことが決まってしまいました。そのため、Web開発に携われる企業への転職を目指しています」などと、これからやりたいことや自分で取り組んでいる内容と、それが現職では実現できないから転職したいという流れにできれば、説得力が出ます。
例(2)
業務経験や経歴をすべて細かく説明する人
NG理由
今までの経験について簡単な説明を求められたときに、「最初の案件は◯◯という仕様で依頼があったもので、△△という言語を使って□□な環境で…そして次の案件は…」などとすべてを長々説明する必要はありません。
それよりも、その仕事が会社のビジネスにどんな影響を及ぼすのか、そのために自分は何をしたのかといったことを、客観的に広い目線で考えて伝えないと、「自分の担当の範囲でしか仕事をとらえていない人」だと思われてしまいます。
経歴は広い視点から狭い視点に向かうように説明しましょう
たとえば「Web広告事業の案件に参加した時は、サービスの特性上、処理速度が重要になると考えていました。そのため、他のモジュールとの連携をしても速度が落ちないように意識をして実装を行いました」など、まずはそれがどんな事業かという話からスタートして、そこから自分の担当業務にスコープしていくとよいでしょう。手元の仕事をただこなすだけでなく、自分の仕事が全体の中でどんな役割かを把握できていることが伝わります。
例(3)
「何か質問はありますか」と聞かれたのに質問をしない人
NG理由
これから入社するかもしれない企業の面接を受けているのに、何も質問がないようだと、普段から疑問を持たない鈍感な人に見えてしまいます。企業の面接を受けるなかで、疑問や気になる点が一切なく、入社したらどんなふうに働くのか完璧にイメージできているような人はほとんどいないはずです。
「何か質問はありますか」と言われたら必ず何かを返しましょう
どうしても思いつかない場合も、なるべく「特にありません」だけで終わらないようにしましょう。
たとえば「面接前は○○についてお聞きしたいと思っていたのですが、さきほどご説明いただけて理解できました」と質問がない理由や理解できた旨が言えると、質問がなくても印象がよくなります。
ポイント3:事業への共感、志望意欲
志望動機は「面接で聞かれるからそれっぽい動機を作らなきゃ」と考えてしまうと失敗しがちです。今までの経験や転職理由を整理した上で、それらが自然と志望動機につながっている状態が理想的です。
例(1)
転職理由や志望動機が年収や福利厚生だけの人
NG理由
条件しか見ていない人は、志望動機をうまく話せません。もちろん条件を重視するのは悪いことではありません。ただ、企業が面接で聞きたいのは「これから自分のスキルをどう活かして、どんなふうに活躍したいか」です。「条件がよかったので志望しました、以上」という人が「やる気もスキルもあって活躍してくれそうだな」と思われることはないでしょう。
ポジティブな転職理由を考えましょう
転職理由と志望動機はほぼイコールの関係にあります。たとえば、「現職はレガシーな技術しか使えなくて嫌だ」という転職理由も、「技術者として成長するために、最新技術の導入に積極的な会社に転職したい」というように、やりたいことをベースに考えることもできるはずです。
さらに、仕事内容や企業の取り組みをひもづけて「この会社でならそれが実現できる」とすれば、説得力のある志望理由になります。不満による転職理由も、「では次に何がやりたいか」を考えることでポジティブに言い換えられないか考えてみましょう。
求人票の「企業の特徴」や「職務内容」をチェックしておきましょう
「企業の特徴」や「職務内容」には、仕事内容や開発環境などの記載があります。これらの記載内容と、自分の経験や希望などをひもづけて、「こういう理由で応募しました」と話せるようにチェックしておきましょう。
例(2)
調べた企業理念をひたすら志望動機として話す人
NG理由
企業理念を調べておくのはよいことです。ただ、面接官が聞きたいのは「今までどんな経験をしてきて、次にどんな仕事がしたくて、その上でなぜこの企業に興味を持ったのか」です。企業理念に共感していても、自分の話ができなければ評価されることはありません。
今までの経験と転職理由を棚卸ししましょう
志望理由の8割は、自分ができることと転職理由でできています。
たとえば「今まで◯◯の開発をしてきたので△△はできます。今後は□□という理由で●●の仕事がしたいのですが、現職は▲▲という理由でそれが叶いません。御社は◆◆という理由でやりたいことが実現できると思い、志望しています」というように、経験+転職理由+αで志望動機は作れます。まずは今までの経験と転職理由を整理してみましょう。
もし、経験と転職理由を整理して考えた志望動機がこのスタイルに当てはまらないのであれば、そもそも応募先が自分の希望とマッチしていない可能性があります。ほかの企業の求人票も見てみましょう。
例(3)
転職理由が「いろいろな開発に携わりたい」な人
NG理由
「いろいろな開発に携わりたい」という話を、自社サービスを開発している企業にしていませんか。
企業にもよりますが、自社サービスを持っている会社は基本的にそのサービスを育ててくれるエンジニアを求めているので、入社したら長く同じサービスに携わることになります。そんな企業で「いろいろなことがやりたい」と言われても、「そのような場は提供できない」「業務内容をちゃんと理解していないのかな」と思われてしまいます。
やりたい仕事をもっと具体的にしましょう
「いろいろな開発に携わりたい」だけでは、何がしたいのかわかりません。採用企業側が誤解してしまう曖昧な表現は避け、明確に「●●なサービスの開発をしてみたい」「◯◯な開発環境で仕事がしたい」と伝えましょう。
もし、実際にいろいろなサービスの開発に携わりたいのであれば、自社開発の企業ではなく、案件ごとに開発するものを変えられる受託開発の企業が向いているかもしれません。
ポイント4:業務外の勉強、取り組み
やる気があることをわかってもらうには、行動をアピールするのが一番効果的です。
面接でも業務外の取り組みについては質問される場面が多いので、話せるようにしておきましょう。
例(1)
「○○をしたいです」どまりで何もしていない人
NG理由
「こういうことに興味があります!」とは言うものの「何か勉強などしていますか」と聞かれると、具体的に答えられない人が非常に多いです。「やりたい」「勉強するつもり」だけなら誰でも言えます。何の取り組みもしていない人は、「口だけで本当はやる気がない人なんだな」と思われても仕方ありません。
例(2)
「○○を勉強しています」と言うだけの人
NG理由
勉強しているのはよいことです。ただ、優秀なエンジニアはふだんから勉強や情報収集をしていることが当たり前となっています。応募者の中でも「勉強しています」というだけの人はたくさんいますから、それだけで話が終わってしまうとあまり印象には残りません。
「勉強した」だけで終わらず「実践した」話をしましょう
「勉強しました」だけで終わらずに、たとえば「実際にこのフレームワークを使ってWebアプリを作ってみながら、業務での利用シーンを考えています」といった感じで、具体的に手を動かして試した内容が話せるといいでしょう。「自分から手を動かすことができて、今後も成長できそうな人だな」と思ってもらえます。
簡単な内容でも「手を動かして試してみた」ことは、面接でのアピールポイントになりますから、話せるように準備をしておきましょう。
普段から情報収集をする癖をつけましょう
優秀なエンジニアは情報収集を欠かしません。業界動向や流行りの技術などは普段からキャッチしておくことが大切です。普段よく見ている技術ブログやWebサイトなどの情報源は、聞かれたらすぐ答えられるようにしておきましょう。