教育活用事例
副専攻(AI活用エキスパートコース)での活用事例
上限のないプログラミング学習の機会を提供
2024年3月19日に「データサイエンス教育におけるプログラミング授業の実践」をテーマに武蔵野大学の渡邊紀文先生、岡田龍太郎先生をお招きしてウェビナーを実施いたしましたのでご報告します。
武蔵野大学は2019年にデータサイエンス学部を設置し、2021年度には文系理系の学科を問わずデータサイエンスや人工知能を学べる副専攻AI活用エキスパートコース(以下、AI副専攻)を開設しました。AI副専攻ではアウトプット型の教育を重視し、そのツールの一つとしてプログラミング教育を重視してきました。
この講演では、AI副専攻を中心に、その全体像やカリキュラムの狙いについて渡邊先生から、プログラミング授業の実施概要について岡田先生から紹介いただきました。
ダイジェスト動画
60分のウェビナーのダイジェスト版です。
MUSICと副専攻「AI活用エキスパートコース」立ち上げについて
最初に紹介いただいたのは、武蔵野大学における情報科目のカリキュラム改編やMUSIC(スマートインテリジェンスセンター)の成り立ちについてです。以下渡邊先生のご講演から抜粋してご紹介します。
渡邊先生:
副専攻のプログラムを作る新たな組織として「スマートインテリジェンス センター(MUSIC)」を2019年度に新たに創設しました。AI副専攻では、主専攻とは異なるもう一つの専門分野を学ぶということになります。この背景にはこれからの時代にあってAI・データサイエンスを活用することは全学科に共通して重要だという考えがあります。
このAI副専攻の設計の際には、ただ授業を受けただけではなく一つのコースを修了したことを、しっかり学生に認定するという点を重視しました。
実際にこのプログラムではAI活用のために学ぶべき科目群として18科目提供していますが、そのうち12単位を取得することで大学から正式な修了書が授与されます。さらに副専攻で取得した単位を主専攻の学科の卒業単位に組み込むことができるようにすることで学生にとって履修しやすい制度にしています。
またこのAI副専攻は、文部科学省の「数理・AI・データサイエンス教育プログラム認定制度」のリテラシーレベルにも認定されていますので、対外的な基準にも準じたプログラムになっていることを学生にも周知しています。
コースの全体概要について
続いて武蔵野大学の情報科目、および副専攻AIのコース全体像と各科目の概要について紹介いただきました。
渡邊先生:
AI副専攻の全体の設計をご紹介します。具体的な授業科目としてまず「基盤科目」があります。基盤科目では最初に基本的な課題解決の手段としてデータ分析等の情報技法とプログラミング学習の科目を用意しています。
このAI副専攻の設計の際には、ただ授業を受けただけではなく一つのコースを修了したことを、しっかり学生に認定するという点を重視しました。
この科目では実際にビジネスで使われているツールを積極的に取り入れており、さらにプログラミングについてはPythonやJavaScriptといった実用性のある言語を教えています。
その後2年生になって学ぶ「専修科目」では、データサイエンスやAIの最新の手法やツールを学びます。そして専修科目の最後には、それまでの授業を合わせてプロジェクトに取り組む授業を用意しています。このプロジェクトの終了時には成果発表会が行われますが、この発表会は新聞などの各種メディアでも取り上げられるなど、対外的にも注目されています。
プログラミング科目について
続いて実際のプログラミング科目の内容について紹介していただきました。その大きな特徴の一つは合計20の全学部全学科を対象としたプログラムであることですが、その中でpaizaラーニングも活用していただいています。
渡邊先生:
武蔵野大学では、全学部全学科を対象としたプログラミング教育を実施しており、「プログラミング基礎」「プログラミング発展A」「プログラミング発展B」の3つの科目から構成されています。「プログラミング基礎」ではまずプログラミング思考やプログラミングの論理構造を学びます。そして「プログラミング発展A」ではPythonを教えながらモデル化およびシミュレーションを学ぶ授業を行っており、その中でpaizaラーニングも利用しています。
さらに「プログラミング発展B」では、「物を作る」ということを意識し、Web用アプリを作る過程でHTMLやJavaScriptを学ぶ授業を行っています。「プログラミング発展B」でもpaizaラーニングを利用しています。
プログラミングの学習環境について
プログラミング学習において、文系理系を含めた全学科に対して授業を行う中で、「多様な知識やスキルを持つ学生をどのようにフォローするか」という点を課題としてよくお伺いしますが、武蔵野大学ではどのような学習環境やサポート体制を整備しているのか、ここではその詳細を紹介していただきました。
渡邊先生:
次にプログラミング授業を行うにあたり、どのような学習環境を整備しているかという点についてご紹介します。
その特徴は大きく2点ありますが、一つ目は「個別最適化」を重視している点、そして二つ目はオンラインを積極的に取り入れた学習環境を用意しているという点です。
プログラミング科目は全学部全学科の学生が受講しているため、個々の興味関心、そしてスキルもバラバラです。学生の興味が多岐にわたるため、データ分析やシミュレーションからWebアプリなどのサービス重視の内容まで幅広い選択肢を準備し、さらに授業だけでは物足りない学生も出てきますので、そういった学生にはpaizaラーニングを利用して「上限のない学び」を提供しています。
学習サポート体制について
さらにサポート体制の特徴の一つとして、学習カルテによる情報共有が挙げられます。
授業はすべてオンラインで実施していますが、学生が質問した内容やその対応について記録し、教員間で共有することで、個々の学生に合わせた対応を行うことができる体制を構築しています。さらに今年からはチャットポッドも活用し、学生の理解に合わせた対応を行う工夫もしています。
そしてオンライン授業をサポートするために、作成したプログラムをグループ内で紹介するといったグループ協調学習も積極的に取り入れています。また授業時間外にも月曜日から土曜日までいつでも教員に相談できる枠を設定し、オンラインという時間的空間的制約のない環境を活用して学生をバックアップしています。
さらに「プログラミング発展B」では、「物を作る」ということを意識し、Web用アプリを作る過程でHTMLやJavaScriptを学ぶ授業を行っています。「プログラミング発展B」でもpaizaラーニングを利用しています。
続いて岡田先生にプログラミング授業の具体的な構成や進め方などについて紹介していただきました。
プログラミング授業の構成について
岡田先生:
Pythonの授業でpaizaラーニングをどのように活用したのかについてご紹介します。
この授業では、Pythonを通じてモデル化やシミュレーションについて学びますが、プログラミング学習の導入部分では、授業内容にかかわらず共通して学ぶ部分が多いため、オンデマンド教材であるpaizaラーニングを活用しています。ただ、paizaラーニングの課題達成をそのまま成績評価にするのではなく、まず授業として学習する必要がある項目から課題を設定し、その補助的学習として位置づけています。大学の授業で本来やりたいことに集中するためにpaizaを活用するというのが基本的な考え方になります。
授業では第1週から第3週でPythonの基本的な項目を学習し、4週目以降に「モデル化とシミュレーション」という項目が入り、7週目に成果発表を行っています。
授業の資料や課題の配布などは基本的にMicrosoftのTeamsを利用し、適宜開発環境としてGoogle Golaboratoryやオンライン授業用のソフトも利用しながら、補助学習用のオンデマンド教材としてpaizaラーニングも活用しています。
各週の授業の進め方について
岡田先生:
少し複雑ですが各週の流れを説明します。
まず同時双方向型のオンライン授業の開始時に、基礎課題と発展課題を公開します。そのうち基礎課題はオンライン授業の終了時に提出し、発展課題は2~3日後までに提出するものとしています。基礎課題がしっかりできていればおおむね単位は取得できますが、さらに良い成績を目指す場合は、発展課題にも取り組む必要があります。
そしてオンライン授業の終了時には、次回のオンライン授業までに提出する必要のあるオンデマンド課題を出します。このサイクルを毎週繰り返していくわけです。
続いてpaizaラーニングと授業の連動について、以下の3つの活用方法をご紹介いただきました。
・説明資料としての活用(授業の学習項目の参考資料としての位置づけ)
・課題としての活用(各授業の発展課題に取り組む前の基礎課題として)
・発展的項目としての活用(授業よりもさらに進んだ青天井の学習として)
岡田先生:
paizaラーニングの活用方法は大きく次の3つにわけることができます。まず一つ目は説明資料としての活用です。
授業の説明資料内に学習項目を記載していますが、その内容に相当するpaizaラーニングのリンクを関連資料として記載しています。ここでは参考資料という位置づけで提示し、授業資料に進む前に取り組むことを促していますが、授業資料の中にある課題がスラスラ解ける場合は省略しても構わないとしています。
2つ目は、課題としての活用です。各授業の基礎課題としてpaizaラーニングの問題を解くことが必須となっており、授業の課題はその発展形として位置づけています。
3つ目は発展的項目としての活用です。
毎週の授業資料の最後に付録として発展的な学習項目を記載しており、その中でpaizaラーニングの資料を紹介しています。ここでは、授業よりもさらに進んだ内容を学習したいといった学生向けに、「青天井の学習」を提供しています。さらにプログラミングスキルを可視化するpaizaラーニングの「スキルチェック」も紹介しています。
以上、武蔵野大学の渡邊先生と岡田先生のご講演から抜粋して紹介させていただきました。渡邊先生のお話の中では「上限のない学び」という表現で紹介いただきましたが、岡田先生の「青天井の学習」というのもまさにpaizaラーニングの大きな特徴の一つとなっています。
paizaラーニングは文理を問わず活用いただけるオンラインのプログラミング学習教材です。以下のURLからすぐに内容を確認することが可能です。ご不明点がございましたらいつでもお気軽にお問い合せください。
■学校フリーパス案内ページ
https://paiza.jp/works/lp/free_pass
※1名様から体験申し込みも可能です。
■登録不要でお試しできる講座
https://paiza.jp/works/python/trial/python-trial-1/62001
短い動画で学習講座→ブラウザ上で演習課題を体験できます。
※1 「AI戦略2019」の概要と取組状況
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg7/20191101/shiryou1.pdf
※2 数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/suuri_datascience_ai/00002.htm