教育活用事例
東京工科大学でプログラミング演習にpaizaを導入
環境構築のトラブルがなくなり学修成果も向上
東京工科大学(東京都八王子市)では、工学部電気電子工学科のプログラミング演習でpaizaラーニングやpaiza.IO、さらに『コードガールこれくしょん』をご利用いただいています。今回は、paizaのサービスを使うに至った経緯や、演習内での利用法、利用前との変化などについて、東京工科大学工学部の天野直紀准教授にお話を伺いました。
プログラミング演習でネックとなっていた「環境構築」
東京工科大学は1986年に開学。工学部や応用生物学部など6つの学部があり、約8千人の学生が学んでいます。世界に通用する人材を育成するため、国際的な教養、実学に基づく専門能力、コミュニケーション能力、論理的な思考力、分析・評価能力、問題解決力を養成しています。
同大学工学部の電気電子工学科では、電力機器、エネルギー、電子デバイス、センサー工学などの多岐にわたる専門科目があり、その中にはプログラミング演習もあります。ところが、このプログラミング演習のうち、特に最初の段階で環境構築の問題が起きることが多かったといいます。
天野准教授(以下、同)「昨年度までのIDEを使っての環境構築型の演習では、インストール時やバージョンアップ時に一部の学生にトラブルが起きることが多く、それが初期に時間をとってしまう原因となっていました。学生は演習でそれぞれ個人のPCを使っていますが、どうしても学生によって容量が足りなかったり速度が足りなかったりということがあったんです。彼らは学習の時点では多くがシステムの熟練者ではありません。インストール中やプログラミング中にトラブルが起きたとき、コーディングが悪いからエラーが起きているのか、操作を間違えたからなのか、環境が壊れてしまったのか、判断するのは難しいのです」
プログラミング初学者がC#を学ぶ必修科目「プログラミング基礎」では、毎年100名ほどが受講しています。しかし、残念ながら環境構築がうまくいかない学生が毎年数名は出てしまっていたそうで、それにより全体の授業の進行が遅くなってしまうこともあったといいます。これからプログラミングやシステムを学ぶ学生のため、学習開始までのハードルを下げる必要がありました。
paiza.IOなら準備時間ゼロでプログラミングを始められる
そこで同演習では、2018年度より演習内でpaiza.IOを使っています。クラウドの実行環境はいくつかある中、paizaを採用いただいた理由を天野准教授に伺うと、以前からpaizaが気になっていたんだそうです。
「もともと(paizaの)サービスが始まったころから興味を持っていて、注目していたんです。1年ほど前に"教育で使ってみませんか"というお話をいただき、渡りに船だと思って採用を決めました。(他のサービスと比べて)実行環境サービスや動画学習で学んだのち、テストを受けてスコアを出し、さらにそれが評価されて就職活動までできるというのはいいですね。単純なプログラミングの学習サービスや、スキル評価をして就職や転職をするサービスなら他にもありますが、学習から就職までが一連となっているサービスは他になく面白いなと思っていました」
実際にpaiza.IOを使ってみると、環境構築の必要がなくなり、演習がスムーズに進むようになったといいます。
「Webブラウザがあれば、全員がまったく同じ実行環境を使うことができるので、事実上、準備時間はゼロになりました。環境構築を切り離して演習をすることができるようになり、初心者でも環境トラブルに悩まされることなく学習できています。100人が同時に接続するためネットワークの負荷が心配でしたが、今のところ大学側のネットワークでも、paiza.IO側のサーバでもトラブルは起きておらず、問題なく演習を進めることができています」
予復習の副教材としてpaizaラーニングを活用
さらに、演習中以外にも予復習用の副教材としてpaizaラーニングを使っています。学習内容と同範囲のpaizaラーニングのレッスンを演習中に明示し、演習時間外で学習したい学生に使わせているそうです。
「演習の内容についてくるのが難しい学生は、どうしても毎年一定数は必ずいます。本来は習熟度別にクラスを分けるなどができればいいのですが、限られたマンパワーの中ではすべての学生を完全にはフォローできていないのが現実です。そこで、演習の時間以外でも学べるようにpaizaラーニングを使わせています。授業資料ではうまく理解できなかったとしても、別の視点、別の教え方であれば理解できるかもしれません。これまでだったら理解できていなかった学生が理解できるようになれるチャンスを得られていると感じています」
一方で、演習を楽にクリアしているプログラミングレベル上位層の学生にもpaizaラーニングを使わせているそうです。
「もともとプログラミング経験がある学生や、適性が高く演習中にあっさり理解してしまう学生もいます。彼らに対しても本来はハイレベル用のクラスを用意するべきなのですが、こちらもマンパワーの限界があり、すべてをフォローすることはできていません。そこでそういう学生には、演習の学習範囲外のpaizaラーニングを用いた学習をするように指導しています」
さらに、paizaで人気のプログラミング学習ゲーム『コードガールこれくしょん』も活用しているとのこと。
「『コードガールこれくしょん』はコーディングの反復練習用のツールとしてどれだけ"プログラミングの筋トレをしているか"の評価指標として使っています。プログラミングが好きな層は結構やっていますね。paizaラーニングや『コードガールこれくしょん』など、本来の学習範囲以上の勉強をしている学生には、加点評価をするようにしました。レベルの底上げだけでなく上位層へのフォローもできるようになり、いい効果が出ていると感じます」
実際に、学生の理解度も高まっているといいます。
「演習期間内に数回、学生たちに学習内容の到達状況を確認するための問題を解いてもらっているのですが、昨年までは理解している学生が80%ほどだったのに対して、今年度は同範囲同程度の問題を89%の学生が理解していました。これは有意な差と考えています。今後使い続けてみて、正式なデータを出したうえでどれくらいの効果があったかを検証したいと思います」
スキルの養成だけでなく社会に接点を持つ機会にしたい
最後に、天野准教授に今後この演習をどういうものにしていきたいかを伺いました。
「特に電気電子工学科においては、実用性や、社会的ニーズに即したスキルを身につけさせるべきと考えています。そういうスキルをより習熟できるような演習にしていきたいです。paizaさんは最終的に就職に直結するサービスなので、コンテンツも社会の要請に応えるものになっているだろうと思います。うまく利用させていただきながら、学生がスキルを伸ばすだけでなく社会に接点を持つ機会になればいいですね」
paizaでは今後も東京工科大学と産学連携し、学生のプログラミングスキル向上に寄与できるようpaizaラーニングやpaiza.IOなど各種サービスを提供していきます。