EN:TRYご利用者インタビュー 株式会社マリエッタ 山本天流さん
わずか1カ月のスピード就活
弁当店アルバイトからエンジニアに
今回は株式会社マリエッタに伺いました。建築系の法人システムやゲーム、アプリなど、幅広く開発をおこなっている同社。浅草橋のオフィスに取材してきました。
前半では、EN:TRYを使って同社に転職された山本天流さん(26歳)にお話を聞きました。情報系の大学に進学しながら、紆余曲折あり、一時はアルバイト先の弁当店に就職することも考えていた山本さん。一念発起してエンジニアを目指した彼が、同社と巡り合い、キャリアの第一歩を踏み出すに至った経緯を伺いました。
後半では、同社代表取締役CEOの神谷信吾さんにインタビュー。採用の理由や特徴的なゲーム研修について、また、未経験者を採用するポイントなど、採用全般の話題まで、幅広くお話を伺いました。
※神谷さんへのインタビュー(後半)は
こちら
から。
大学を中退、弁当店への就職も考えた
――エンジニア未経験だったそうですが、そもそもプログラミングの経験はあったのですか?
高校の頃から独学でやり始めて、その流れから大学も情報学科に進みました。ただ、生活のために弁当店のアルバイトに明け暮れた結果、7年間在籍して中退することになってしまいまして。もうこのまま弁当店の社員になるしかないのかなと考える時期もありました。
一方で、ずっとプログラミングは好きだったので、日ごろからpaiza.IO(オンライン実行環境)やスキルチェックを使っていましたし、エンジニアになりたいという思いも持ち続けていました。その後、就職で悩んでいたときに、ふとpaizaが転職サイトだったことを思い出したんです。それ以降は、なんとかpaizaを使ってエンジニアとして就職できないかと考えるようになりました。
――就職活動では、何社くらい応募されましたか?
まずはIT企業に勤めることが大事だと思っていたので、業界などで選り好みはせず、東京と地元の福岡というエリアだけ決めて、プラチナスカウトが来た順に4社に応募しました。paizaでAランクをとったあと、今の会社への入社が決まるまで、トータルで1カ月くらいでした。
――かなりのスピード感ですね。周りも驚いたんじゃないですか?
大学を中退していますし、実務も未経験でしたから、先生や親からは「エンジニアとして就職するなんて、そんなに甘いものではない」と言われていましたね。それもあって、1年だけと期限を決めて就職活動に臨みました。1年やってどこにも決まらなければ、弁当店に就職しよう、と。こんなに早く決まって自分でもびっくりしました。
――未経験からという逆境の中、どんな対策を立てて就職活動に臨んだのですか?
すでに実務で何年もやっている同世代の経験者と比べたら、技術力では勝負できません。ですから、やる気やプログラミングが好きという部分を推すしかないなと考えていました。あと、アピールしたことは、過去にiOSアプリをリリースしてそれがストアに並んでいることですね。簡単なアプリなのですが、その行動力を評価していただきました。この話をしたときが、一番面接官の関心をひけたと思います。
――この会社の面接ではどんなお話をされましたか?
自社で運営しているFlashゲームに対して「君ならどうやって作る?」という質問をされて、それについて「これをこうしたほうがいいと思う」といった話をしました。あとは、こちらから質問することのほうが多かったですね。趣味と仕事でのプログラミングの違いがイメージできなかったので、ひたすら質問し続けました。結局、面接を担当してくれた方と、面接が終わってからも2時間くらいお話をしていたと思います。
純粋な興味として「実際にどんな感じで働いているのか」や入社後に「どんな勉強をするのか」を聞いていたのですが、結果的にそれでやる気もアピールできたのかなと思います。そのかいあって、その場で「弊社に来る気があるなら、どう?」と言われまして。そこで入社が決まりました。
趣味と仕事では成長の速度がまったく違う
――2時間でやる気を感じ取っていただけたんでしょうね。そうして入社されて、今はどんなお仕事をされていますか?
今はJavaScriptでWeb系コンテンツを作ったり、FlashコンテンツをHTMLに直したりといった作業がメインです。Androidアプリを作る仕事なども担当しています。
――実際にエンジニアとして仕事をしてみて、感想はいかがですか?
趣味と仕事では成長するスピードがまったく違って、自分の成長を実感できるのが楽しいです。少しずつですが、最初は意味や意図がよくわからず読み飛ばしていた先輩のコードも「これのためにこう書いていたんだな」とそこに込められた気持ちがわかるようになってきました。
――エンジニアは「コードで会話する」とも言いますからね。スキルが身についたことが肌で感じられるのはすばらしいことだと思います。次に、社内の雰囲気について教えていただけますか。
他の会社のことは分からないのですが、分からないことも聞きやすいですし、思っていたよりもにぎやかな雰囲気です。フロントエンド側とバックエンド側といったくくりはありますが、プロジェクトごとにチームを組み、終わったらまた新しい人と…といった感じなので、あまり部署やチームという垣根もないですし、社内全体がフラットです。
――エンジニアとして、さっそく溶け込めていてすごいですね。最後に、これからの目標を教えてください。
いずれはフルスタックエンジニアになりたいですね。フロントからサーバーまで理解できるエンジニアになって、もっと仕事の幅を広げていきたいと思っています。
実は、面接を担当していただいた方が今は直属の上司で、その方がまさにフルスタックのエンジニアなんです。上司として、そしてエンジニアとして、あこがれの存在で、自分もそういうエンジニアになりたいと思っています。
――今日はありがとうございました。
転職者の声
採用者の目線
株式会社マリエッタ 代表取締役 神谷信吾さん
大学中退後、独学でプログラミングスキルを高め、見事にエンジニアになった山本さん。今度は彼を採用した理由を企業にも伺ってみましょう。面接でのエピソードや採用のポイントについて、同社代表取締役の神谷信吾さんにお話を聞きました。
EN:TRYを使い、すぐに2人採用
――まずは御社でpaiza、そしてEN:TRYを利用しようと思ったきっかけを教えてください。
弊社は創立15年目に入るのですが、最初の4、5年は知り合いのツテで採用していました。そこからリクルーティング企業の協力が必要になって、大手様含め、さまざまなサービスを活用してきました。ただ、採用はあくまでタイミングなので、同じ費用をかけても、結果がいい時もあれば、悪い時もあります。同じ企業の同じ担当者に頼んだとしても結果はバラバラで、誰も読めない。それじゃあ成功報酬型のpaizaさんを試してみようかとなりまして。プログラミングスキルをテストでランク付けしているのもいいなと思いました。
――応募者のスキルの見極めは難しいですか?
難しいですね。今までもできるといって入社した人が、いざ現場に入ったらできないということが多々ありました。面接では実際にできるかどうかの見分けがなかなかつかないんです。逆にプログラミングスキルさえ分かれば、人間性は会って確認できるんですが。paizaさんはテストした上でランク付けされているということで、実際に3人面接したところ、すぐに2人の採用につながりました。
採用で重視しているのは現場の意見
――ありがとうございます。paiza経由で採用されたのは、山本さんを含めてどんな方ですか?
たまたまかもしれませんが2人とも未経験者でした。前職はそれぞれ特徴的で、弁当店の店員と宅配便の従業員。単にエンジニア未経験というだけでなく、とても遠い業界出身だったので、paizaさん以外からの応募だったら確実に落としていたと思います。
――そのうちのおひとりである山本さんは、どこを評価されたのでしょう?
やはり大きかったのはやる気ですね。私は面接の最初10分ほどしか参加していなかったのですが、担当したエンジニアと面接後も2時間くらいずっと話し込んでいたんです。こちらが期待するレベルまではテストもできていましたし、なによりも直属の上司になる社員が強く推薦してきたことで採用を決めました。採用では、私よりも実際に現場で深く関わる人の意見を大切にしています。
――面接担当の方が山本さんを非常に高く評価してくださったんですね。ちなみに、スキルチェックでのランクはどれくらい考慮されていますか?
弊社は建築に関するプロダクトを扱っています。もちろん、ある程度のプログラミングスキルは必要ですが、高ければ高いほど高評価、ということもしていません。Sランクの方がうちの仕事に適応するかどうかはまた別の問題です。「サーバーを何十台も同時に扱えます」と言われても、そんなスキルが必要になるシチュエーションはないですからね。
――あとは、プログラミング以外の知識についても伺いたいのですが、建築に関する知識は、応募の段階でどれくらい必要でしょうか?
そこは入社の時点では求めていません。建築系に強いエンジニアなんて、大手のシステム情報部くらいにしかいないですから。ちなみに、プログラミング経験者でも一人前になるのに3年はかかります。工数見積もりをつくるにしてもその業界にあった相場があるので、そうしたプログラム以外の経験が必要になってくるんです。それは現場で数をこなして覚えていくしかないですね。
プログラミングのセンスを養うゲーム制作研修
――御社では入社後の研修でゲームを制作させると聞きました。なかなか独特だと思いますが、どうしてこのような研修をやるようになったのですか。
そもそもゲーム制作というのは、サービスを作る人にとって非常に有用なんです。ゲームって、説明書なんて読まずにとりあえず触ってみて、直感的に操作しながら覚えていくことがほとんどですよね。それは弊社がつくっている業務システムでも同じで、システムの専門家じゃない方が、直感的に使い方を理解できるくらいじゃないとダメだと考えています。ゲームなら、嫌だと思えばすぐにやめればいいですが、業務システムは、嫌でも使い続けなくちゃいけないものですからね。使いにくいシステムを作るわけにはいかないんです。
弊社では、仕様書を書くときに、わざわざ分かりやすさ・使いやすさを意識して全部指示するようなことはしません。たとえば、OKボタンを押してほしいのにキャンセルボタンのほうが大きかったら間違えるじゃないですか。さらに、間違えてキャンセルボタンを押したときに「本当に消してもいいですか?」と聞かずにデータが消えちゃったら腹が立ちますよね。でもそれを、いちいちOKボタンを大きくして、ちょっと光らせて、ポップアップを出して…っていうことまで仕様書に書いていたら、自分で作ったほうが速いよね、ってなってしまう。それは指示せずとも社員ひとりひとりが自分で考えて開発してもらいたい。そのためにセンスを磨いてもらいたいと思っています。それをどうやったら実現できるかな、と考えていった結果、たどりついたのがゲームを作ってもらうことだったんです。
――ゲーム研修期間はどれくらいで完了するのでしょう?
だいたい3ヵ月ですね。1本目に1ヵ月半くらいかけて、残りの1ヵ月半で2本作ってもらいます。ゲームをリリースすれば、毎日ユーザーの利用状況が集計されます。それを見ながら「スタートはしたけど1回でやめる数が多い」「ゲームの意味がわかった人はリピートするけど、大半が離脱して終わっている」など、データを通して問題点を見つけ、どうすれば改善できるか、自分自身で考えさせます。
たいてい、最初に作ったゲームは散々な結果になります(笑)。みんな「3ヵ月前に作ったソースは見たくない」って言いますね。あの時、こういう考えで作っていたからダメだったんだっていうことがわかる。その経験が大切なんです。
――エンジニアとして必要な想像力やセンスを磨くためなんですね。
さらに、エンジニア以外の工程がどう動いているかを学んでもらうためでもあります。ゲーム研修ではプログラミングだけでなく、制作のすべてをやってもらいます。プログラムを書かないといけないのは当然として、たとえ汚くても恥ずかしくても、デザインやイラストも自分でやります。要は開発に関わる全ての作業工程を知ってもらいたいんです。
実際の業務ではデザイナーさんに仕事をお願いすることもあります。しかし、たまたま自分が思い描いていた以上のイラストが短時間でできあがってきたときに、「なんだ、簡単にできちゃうんだな」と思ってもらっては困ります。研修では、全工程をやってもらい、それで各担当の仕事がどのように動いているかを理解してもらいます。
一方、最初はエンジニア志望で入社したけれど、研修を通して、自分にはデザイナーのほうが合っているかも、と気付く人もいます。そういう人には、適性を見ながら、研修後の転向などもおこなっています。
――ゲーム制作という一見奇抜な研修が、実はかなり理にかなっているものだったんですね。
ただ、最近はゲーム研修が表に立って応募されるケースが増えてしまって。今回入社した2人にも「最初からゲームを作ることが仕事ではない」ことはしっかり話しました。
いい製品を作るためには余裕が必要
――次に、御社のエンジニアチームについてお聞かせください。まず、現在の構成を伺えますか。
社員数が25名で、うちエンジニアが19人を占めます。組織としては、それぞれ役割はあるものの、基本的に文鎮型で、持ち手もないくらいの横並びです。
――御社で働くエンジニアにとって、もっとも大事なものをあげるとすればなんでしょうか?
ゲーム研修のお話でも言いましたが、仕様書に出てこない部分をどう作るか。そこが一番大切だと考えています。弊社が制作するソフトは、家の設計図やイメージを作成するものですが、利用者からすれば、ちゃんと出力ができれば使うソフト自体は何でもいいわけです。その中で選ばれるためには、アルバイトの方でも「なんとなく使ってみたけど、それでもできた」ということが大事になります。
――独りよがりにならず、ユーザーの目線に立つことが使いやすい製品を生み出す。基本でありながら、おざなりになりがちな部分でもありますよね。そうして苦労を重ねてやり遂げる先に、どんなやりがいを見出しているのでしょう。
自分もエンジニアでしたけど、やはり「すごいね」ってほめられるのが一番うれしいんですよ。難しい機能を何ヵ月もかけて作っても、誰も使ってくれない、そのすごさをわかってもらえないのは悔しい。ですから、使ってもらうための努力は惜しみません。ただ、これは余裕がないとできないことでもあります。作るだけでいっぱいになってしまったら、そういうところへ目を向けることはできませんから。
弊社のエンジニアには、必要な機能を組み上げたあと、そのままでも製品として成立しているにもかかわらず、「表示の仕方が気に入らない」と言って、さらに1週間そこだけ研究・改良を繰り返した、なんてエピソードをもつ人もいます。それくらいまで考えられるエンジニアになってほしいと思います。
――完成した先の演出にこだわれるのは、余裕があればこそだと。
それができるためには余裕だけでなく、それなりのテクニックも必要です。そこがエンジニアとしてやりがいを感じる部分であり、大切なことではないでしょうか。
実際、その表示の仕方をこだわった製品はクライアントからも好評でした。「おおっ!」と反応があったときは私もうれしかったですね。もちろん、そういったクライアントの反応は必ずエンジニアにフィードバックするようにしています。
これからも建築分野で世の中をびっくりさせたい
――最後に御社の事業について伺えますか。今後の展望も含めて教えてください。
今まではBtoBで建築系のアプリやシステムを開発してきたのですが、今後はBtoC市場にも参入していきたいですね。現在、スマホを使って、自宅のリフォーム後の状態が見えるアプリを開発中です。ARコアという新しい技術を使って、面白いものを作れるんじゃないかなという手応えがあるんです。やはりこれからも、建築分野で世の中をびっくりさせるものを作りたいですね。
私自身が技術者出身ということもあって、この会社もずっと技術屋の会社であり続けたいと思っています。今後も既存商品にこだわらずどんどん新しい製品を開発していきたいですし、企業として大きくなっても、そこだけはベンチャーマインドでいたいですね。
神谷さん、山本さん、ありがとうございました。
大学を中退しながらも、エンジニアへの道を諦めきれなかった山本さん。paizaでAランクを取得し、まわりも驚くほどのスピードで見事、内定を獲得しました。弁当店員というまったく違う業種からの転職も、スキルで評価してもらえるEN:TRYだったからこその結果でしょう。山本さんのような志ある方の力添えができるように、paizaもがんばります!
株式会社マリエッタのますますの発展をお祈りしております。