Pythonの組み込み関数とは?
Pythonの組み込み関数(built-in functions)とは、Python言語のインストール時に標準で搭載されている関数のことです。これらの関数は、特別なimport文を書く必要はなく、Pythonを使える環境であればどこでもすぐに使用できます。
組み込み関数は、プログラミングにおける基本的な処理を効率的に行うために設計されています。例えば、画面に文字を表示するprint()関数、データの長さを調べるlen()関数、数値を小数点に変換するfloat()関数など、さまざまな用途に対応しています。
Python初心者の人が特に意識したいことは、これらの関数を使うと、本来なら多くのコードが必要な複雑な処理も、数行の簡単なコードで実現できる点です。例えば、リストやタプルなどの要素の最大値を知りたい場合、複雑なループ処理を書かなくても、max()関数を使えば取得できます。
Pythonには70以上の組み込み関数があり、それぞれが特定の目的のために最適化されています。初めから全てを覚える必要はありませんが、よく使われる基本的な関数を理解しておくと、コードをより速く簡潔に書けるようになり、開発効率が大幅に向上します。
組み込み関数の大きな特徴は、Pythonのバージョンによらず一貫して使えること、プログラムのどこからでも準備なく呼び出せることです。これにより、コードがわかりやすく(可読性が高く)なり、開発時間も短縮できます。
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基本構文
Pythonの組み込み関数は、非常にシンプルでわかりやすい構文で使用できます。基本的には関数名の後に丸括弧を付け、括弧内に必要に応じて引数(パラメータ)を渡します。
例えば、「こんにちは」という文字列を画面に表示したい場合は、print()関数を使います。
出力結果:
こんにちは
また、リストの要素数を調べたい場合は、len()関数を使います。
出力結果:
3
これらの例からわかるように、Pythonの組み込み関数は直感的で使いやすく設計されており、初心者でもすぐに活用することができます。
実用例
Pythonの組み込み関数は、プログラミングのさまざまな場面で活躍するツールです。ここでは、Python学習の最初の段階で役に立つ、よく使われる組み込み関数を具体的なコード例とともに紹介します。これらの関数をしっかり理解して使いこなせるようになることで、Pythonの基礎をしっかりと習得し、複雑なプログラムも書けるようになるでしょう。
各関数の特徴や使い方を理解するために、以下に紹介するコード例をただ読むのではなく、実際に書いて実行してみることを強くおすすめします。プログラミングスキルを身に付けるには、実際に手を動かして学ぶことが最も効果的です。以下のコード例では動物に関する内容を使用しており、初心者の方でも親しみやすくなっています。
それでは、代表的な組み込み関数を見ていきましょう。まずは基本的な出力に関わる関数から学び、徐々にデータ操作や変換に役立つ関数へと進んでいきます。
print():画面に出力する関数
print()関数はPythonで最も基本的かつ非常に重要な組み込み関数の1つで、プログラムの実行結果や変数の中身を画面に表示するために使用します。これにより、コードの動作を確認したりデバッグを行ったりできます。また、複数の値を表示したい場合はカンマで区切ると、それぞれの間にスペースが入って出力されます。
出力結果:
キリン
出力結果:
ライオン トラ
len():長さや要素数を調べる関数
len()関数はリスト・タプル・辞書などに使われ、オブジェクトに含まれる要素数を返します。データのサイズを把握したい時や、forループ文などで繰り返し処理を行う回数を決める際によく使われます。
出力結果:
5
出力結果:
3
type():データ型を確認する関数
type()関数は渡された値や変数が整数型(int)、文字列(str)、リスト(list)など、どのデータ型であるかを調べる組み込み関数です。デバッグを行う時や型を変換する前に現在のデータ型を確認したい場合に便利で、Pythonの動的型付け(変数の型が実行中に決まる/変わる)を理解するのに役立ちます。
出力結果:
<class 'str'>
出力結果:
<class 'int'>
出力結果:
<class 'list'>
int()・float()・str():型変換を行う関数
これらの関数はあるデータ型(例えば文字列)を別のデータ型(例えば数値)に変換(キャスト)するために使用します。ユーザーからの入力を処理することや、異なる型の値を計算で組み合わせる際に発生する型の不一致を解決するのに役立ちます。適切に型変換を行うことでプログラムのエラーを防ぎ、意図した通りの結果が得られます。
出力結果:
パンダの数: 7
出力結果:
100.0
list()・tuple()・set():データ構造を作成する関数
これらの関数はリストやタプル、文字列など新しいコレクションを作成したり、コレクション型の間で相互に変換したりする際使います。扱うデータの性質や行いたい処理に合わせて最適な構造を選ぶことで、処理効率が向上します。
出力結果:
['カ', 'バ']
出力結果(例):
{'猫', '犬', '兎'}
※実行ごとに要素を表示する順番は変わります
max()・min():最大値・最小値を見つける関数
max()とmin()関数はリストやタプルなどの複数の要素を含むオブジェクトから最大値と最小値を見つけて返します。これらの関数は数値だけでなく文字列でも使用でき、その場合は辞書での並び順に基づいて比較が行われ、データ分析や比較処理で活躍します。
出力結果:
最大: 4000
最小: 50
出力結果:
アリクイ
sorted():データを並べ替える関数
sorted()関数は複数の要素を含むオブジェクトに含まれるデータを並べ替えて、新しいリストを返す関数です。昇順・降順の指定はもちろん、独自の基準(key引数を使用)でのソートが可能で、データの整理やランキング作成といった並び替えに便利です。
出力結果:
['うさぎ', '犬', '猫']
['猫', '犬', 'うさぎ']
range():数値シーケンスを生成する関数
range()関数は連続した数値のシーケンスを生成します。for文と組み合わせて指定回数のループ処理を行う場合や、list関数と組み合わせて特定の範囲の数値を含むリスト作成によく使われます。
出力結果:
[0, 1, 2, 3, 4]
出力結果:
動物1: ライオン
動物2: トラ
動物3: チーター
よくある質問(Q&A)
Q1. 組み込み関数とライブラリ関数はどう違うのですか?
A:組み込み関数は、Pythonをインストールした時点で最初から使える関数です。print() や len() のように、import しなくてもそのまま呼び出せます。
一方でライブラリ関数は、math や datetime のように モジュールを読み込んでから使う関数です。
コードでいえば「すぐに使えるか、それとも import が必要か」の違いといえます。
Q2. 組み込み関数の数が多すぎて覚えきれません…
A:70種類以上あるので、全部を一気に覚える必要はありません。
まずは print() や len()、range()、max() といった よく使う数個だけを押さえておけば十分です。
あとは「必要になったときに調べる」でいいでしょう。実務でも実際に頻繁に登場するのは一部だけなので、安心してください。
Q3. 自分で関数を作って、組み込み関数の代わりに使ってもいい?
A:やろうと思えばできますが、基本的にはおすすめしません。
例えば len() の代わりに for 文でカウント処理を書くことも可能ですが、コードが冗長になって読みづらくなりますし、バグのリスクも増えます。
組み込み関数はPython開発者がしっかり最適化してくれているので、そのまま使ったほうが早くて安全で、他の人にも理解しやすいコードになります。
Q4. あまり知られていないけど便利な組み込み関数は?
A:たとえば sum() を使えばリストの合計が一行で出せます。
さらに any() と all() は条件判定にすごく便利で、「一つでも True があるか?」「全部 True か?」をまとめてチェックできます。
そのほかにもさまざまなものがありますので、気になる人はぜひ一度確認してみましょう。
Q5. 初心者がつまずきやすい代表的なポイントを教えてください。
A:いくつか典型的なミスがあります:
- sorted() を使っても 元のリストは変わらない → 並べ替えた結果を受け取る必要がある
- range() は 終了値を含まない → 例えば range(5) は 0〜4 まで
- max() や min() を 空のリストに使うとエラーになる
こうした細かい仕様を知っておくだけで、初歩的なエラーに悩まされる時間を減らせます。
まとめ
Pythonプログラミングを始めたばかりの人は、print()、len()、type()といった使用頻度の高い基本的な組み込み関数を習得し、徐々にレパートリーを増やしていくことがおすすめです。
データ構造の変換や操作に役立つlist()、tuple()、set()、データの分析に便利なmax()、min()、sorted()など、状況に応じて適切な組み込み関数を選択できるようになることで、少ないコードで効率的な処理が実現できます。
Pythonにはここで紹介したもの以外にも多くの組み込み関数が容易されていますので、興味がある方は公式ドキュメントを参照してみてください。組み込み関数に関する知識を深め、Pythonプログラミングを底上げしていきましょう。