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Python float型の使い方

この記事のポイント

Pythonのfloat型は、小数点を含む数値を扱うための基本的なデータ型です。

この記事を読むと、次のようなことが身に付きます。

  • float型の基本概念と小数点数の表現方法がわかる
  • 四則演算や型変換などの基本的な操作手順を理解する
  • 実際の開発で役立つ具体的なコード例とその活用場面を知る
  • 動物や身近な例を通して、float型の実用性を体感する
  • プログラミング初心者でも安心して使える基本スキルを習得する

この記事を通して、float型の正しい使い方をマスターすれば、小数点を含むさまざまな計算処理を効率的に実装できるようになります。

目次

float型とは?

float型とは、小数点を含む数値を扱うためのデータ型です。例えば3.14や2.5のような数値を表現するときに使用されます。

日常生活で考えると、お金の計算(消費税やセールでの割引)や身長の測定、温度の記録など、小数点が必要な場面でfloat型が活躍します。

整数型のintとは異なり、float型では小数部分を持つ数値計算や精密な計算が可能です。

float型の特徴

  • 小数点を含む数値を正確に表現できる
  • 自動的に型が決まるため、小数点を含む数値を変数に代入するだけで使える
  • 四則演算(足し算、引き算、掛け算、割り算)ができる
  • 他の数値型との計算も簡単にできる

float型は、プログラミング初心者でも直感的に理解しやすい基本的なデータ型の一つです。

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基本構文

Pythonのfloat型の使い方は、とてもシンプルです。基本的な使い方は、変数への代入、四則演算、型変換です。  

# 基本的な代入 price = 3.14 weight = 2.6 # 四則演算 result = price + weight print(result)

出力結果:

5.74

この例では、priceとweightという変数にそれぞれ小数点を含む数値を代入しています。

Pythonが自動的にfloat型として認識し、足し算の結果も小数点を含む数値として表示されます。

次に、整数をfloat型に変換する方法です。float()関数を使うと、整数型の変数をfloat型に変換できます。

type()関数で型を確認することも可能です。

# 型変換 integer_num = 10 float_num = float(integer_num) print(float_num) print(type(float_num))

出力結果:

10.0
<class 'float'>

この例では、整数の10をfloat()関数を使ってfloat型に変換しています。結果として10.0という小数点付きの数値になり、type()関数で確認すると<class 'float'>と表示されます。

実用例

ここからは実際のコード例を通して、float型がどのような場面で使われるかを見ていきましょう。

これから紹介するコード例は、すべて実際に動かすことができます。実際にコードを動かしてみると、より理解が深まるはずです。

動物を題材にした身近なシステム例を中心に、段階的に説明していきますので、一つずつ試してみてください。

ペットの体重管理システム

ペットの健康を管理するために、体重の変化を計算するシステムです。現在の体重と目標体重を比較して、どのくらい調整が必要かを数値で確認できます。

動物病院やペットショップでの健康管理システムの基礎となるような実用的なコード例です。

current_weight = 5.3 target_weight = 4.8 difference = current_weight - target_weight print(f"ネコの現在体重: {current_weight}kg") print(f"目標体重: {target_weight}kg") print(f"減量必要量: {difference}kg")

出力結果:

ネコの現在体重: 5.3kg
目標体重: 4.8kg
減量必要量: 0.5kg

この例では、ネコの現在の体重が5.3kgで、目標体重が4.8kgの場合を想定しています。float型を使って正確な差分(0.5kg)を計算し、減量が必要な量を表示していますね。

プログラムの流れとしては、下記です。

プログラムの流れ

  1. 現在の体重と目標体重をfloat型の変数に保存
  2. 引き算で差分を計算
  3. f-string(文字列フォーマット)を使って結果を見やすく表示

ちなみに、f-stringについて説明しておきます。「理解が曖昧かも」という方は、ここで復習しましょう。

f"ネコの現在体重: {current_weight}kg"のような書き方をf-stringと呼びます。

これは文字列の中に変数の値を埋め込むための便利な機能です。

  • fを文字列の前に付けることで、f-stringになる
  • {}の中に変数名を書くと、その変数の値が文字列に埋め込まれる
  • 例:f"こんにちは、{name}さん"で、nameが「田中」なら「こんにちは、田中さん」と表示される

f-stringを使うと、計算結果をわかりやすく表示できるので、プログラムの出力が読みやすくなるというメリットがあります。

動物園の餌代計算システム

動物園で1か月にかかる餌代を計算するシステムです。1日の餌の量、餌の単価、1か月の日数を使って、月間の総コストを自動で算出します。

複数の変数を組み合わせた計算処理により、効率的な予算管理が可能になるプログラム例です。

daily_food_kg = 12.5 price_per_kg = 850.0 days_in_month = 30 monthly_cost = daily_food_kg * price_per_kg * days_in_month print(f"ライオンの月間餌代: {monthly_cost}円")

出力結果:

ライオンの月間餌代: 318750.0円

この例では、ライオンが1日に12.5kgの餌を食べ、餌の単価が1kgあたり850円というケースを想定して計算しています。複数のfloat型変数を掛け算することで、月間コストを求めています。

このコードで何をしているのか確認しておきましょう。

プログラムの流れ

  1. 1日の餌の量(12.5kg)を設定
  2. 餌の単価(850円/kg)を設定
  3. 1か月の日数(30日)を設定
  4. すべてを掛け算して月間コストを計算
  5. 結果を表示

水族館の水温管理システム

水族館で水温を適切に保つために、現在の温度と目標温度の差を計算するシステムです。

水生生物の健康管理において重要な温度調整を数値化します。

current_temp = 18.5 target_temp = 20.0 temp_difference = target_temp - current_temp print(f"イルカプール現在温度: {current_temp}℃") print(f"温度調整必要量: +{temp_difference}℃")

出力結果:

イルカプール現在温度: 18.5℃
温度調整必要量: +1.5℃

この例では、現在の水温が18.5度で、目標温度が20度の場合を想定しています。1.5度の温度上昇が必要であることがわかりますね。

農場の鶏卵生産量計算

農場で鶏の卵の生産量を管理するシステムです。飼育している鶏の数と1羽あたりの産卵率から、1週間の総生産量を算出します。

chickens_count = 25 eggs_per_chicken_per_day = 0.8 days_per_week = 7 weekly_production = chickens_count * eggs_per_chicken_per_day * days_per_week print(f"ニワトリ週間卵生産量: {weekly_production}個")

出力結果:

ニワトリ週間卵生産量: 140.0個

この例では、25羽の鶏がそれぞれ1日に平均0.8個の卵を産む場合の週間生産量を計算しています。農場経営における生産性管理に役立つ計算です。

1羽あたりの産出量が小数だったとしても、float型であれば計算することができます。

プログラムの流れ

  1. 鶏の飼育数(25羽)を設定
  2. 1羽あたりの1日の産卵数(0.8個)を設定
  3. 1週間の日数(7日)を設定
  4. すべてを掛け算して週間総生産量を計算

動物病院の薬剤投与量計算

type関数とisinstance関数の違いを示す例です。type関数は、同じクラスかどうかを厳密に確認するものです。これに対してisinstance関数では、クラスの継承関係も考慮します。Pythonのオブジェクト指向プログラミングでは、継承を考慮した型チェックをする理由から、type関数よりもisinstance関数の方が適している場合が多いです。

dog_weight = 15.3 dosage_per_kg = 2.5 total_dosage = dog_weight * dosage_per_kg print(f"イヌの体重: {dog_weight}kg") print(f"総投与量: {total_dosage}mg")

出力結果:

イヌの体重: 15.3kg
総投与量: 38.25mg

この例では、体重15.3kgの犬に対して、体重1kgあたり2.5mgの薬を投与する場合の総投与量を計算しています。

医療現場での安全性確保において、重要な計算処理です。

競馬場の馬の走行速度計算

競馬場で馬の走行能力を分析するために、走行距離と時間から平均時速を計算するシステムです。

スポーツ分析や競馬データ解析で使用される計算です。

distance_km = 2.4 time_minutes = 2.5 time_hours = time_minutes / 60 average_speed = distance_km / time_hours print(f"ウマの平均走行速度: {average_speed:.1f}km/h")

出力結果:

ウマの平均走行速度: 57.6km/h

この例では、2.4kmの距離を2.5分で走った場合の平均時速を計算しています。

ちなみに、{average_speed:.1f}の:.1fは、小数点以下の表示桁数を指定する書き方です。

  • :.1f → 小数点以下1桁まで表示(例:57.6)
  • :.2f → 小数点以下2桁まで表示(例:57.60)
  • :.0f → 小数点以下なし、四捨五入(例:58)

計算結果が長い小数になった場合でも、必要な桁数だけ表示できるので便利です。

数学的には綺麗な数になる計算でも、コンピュータは内部で数値を2進数で表現するため、10進数の小数を正確に表現できない場合があります。

そのような問題に対処するときにも使うので、ぜひ覚えておきましょう。

また、理解を深めるためにも実際に数字の部分を書き換えて挙動を確認してみてください。

処理としては簡潔でわかりやすいですが、もし不安な方はコードの意味を確認しておきましょう。

プログラムの流れ

  1. 走行距離(2.4km)を設定
  2. 走行時間(2.5分)を設定
  3. 時間を分から時間に変換(÷60)
  4. 距離÷時間で平均速度を計算
  5. 小数点以下1桁で結果を表示

牧場の牛乳生産量管理

酪農業で1日の牛乳生産量を管理するシステムです。朝と夕方の搾乳量を合計して、1日の総生産量を算出しています。

morning_milk = 12.8 evening_milk = 11.2 daily_total = morning_milk + evening_milk print(f"ウシの朝の搾乳量: {morning_milk}L") print(f"ウシの夕の搾乳量: {evening_milk}L") print(f"1日の総生産量: {daily_total}L")

出力結果:

ウシの朝の搾乳量: 12.8L
ウシの夕の搾乳量: 11.2L
1日の総生産量: 24.0L

この例では、朝の搾乳で12.8リットル、夕方の搾乳で11.2リットルの牛乳が採れた場合の1日総量を計算しています。

動物園の来園者数と収益計算

動物園の1日の収益を計算するシステムです。大人と子供の入園者数と料金体系から、総収益を算出します。

観光業や娯楽施設の経営分析に応用できる収益の計算といえるでしょう。実際の売上管理システムで使用される基本的な計算処理を実装したコード例です。

adult_visitors = 150 child_visitors = 80 adult_price = 1200.0 child_price = 600.0 total_revenue = (adult_visitors * adult_price) + (child_visitors * child_price) print(f"パンダ園の1日総収益: {total_revenue}円")

出力結果:

パンダ園の1日総収益: 228000.0円

この例では、大人150人(1人1200円)と子供80人(1人600円)が入園した場合の総収益を計算しています。

括弧を使って計算の順序を明確にしています。数学の計算と同じ考え方ですね。

プログラムの流れ

  1. 大人の入園者数(150人)と子供の入園者数(80人)を設定
  2. 大人料金(1200円)と子供料金(600円)を設定
  3. 大人の収益と子供の収益をそれぞれ計算
  4. 両方の計算結果を足し算して総収益を算出

まとめ

Python float型は、小数点を含む数値を扱う基本的なデータ型です。

この記事では、基本的な使い方から実際の活用例までくわしく解説しました。float型の活用場面を挙げてみます。

float型が活躍する場面

  • 体重や身長などの測定値を扱うとき
  • 価格計算や金額の処理をするとき
  • 温度や速度などの物理量を計算するとき
  • 生産量や収益などのビジネス計算をするとき
  • 薬の投与量など精密な計算が必要なとき

また、Pythonのfloat型を使う上で重要なポイントも押さえておきましょう。

重要なポイント

  • 小数点を含む数値を変数に代入するだけで自動的にfloat型になる
  • 四則演算(+、-、*、/)がすべて使える
  • float()関数で整数からfloat型への変換ができる
  • f-stringを使って結果を見やすく表示できる

初めてPythonを学ぶ方も、この記事で紹介したfloat型を実際に書いて、基本的な使い方を試してみてください。

小数点を含む計算は日常的なプログラミングで頻繁に使用されるため、しっかりとマスターしておくことが大切です。

まずは簡単な例から始めて、徐々に複雑な計算にも挑戦してみましょう。実際にコードを動かしながら学ぶことで、より深い理解が得られるはずです。

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