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Python rangeの使い方

この記事のポイント

  • 効率的なメモリ使用によるパフォーマンス向上
  • for文との組み合わせによるシンプルなループ記述
  • インデックスベースのデータアクセス手法
  • 開始値・終了値・ステップ値の柔軟な制御
  • リスト内包表記との組み合わせテクニック

目次

Pythonにおけるrangeとは?

Pythonにおけるrange関数は、連続する整数のシーケンスを生成するための組み込み関数です。特定回数の繰り返し処理を実現したいときや、インデックスを使ってリストの要素にアクセスしたいときに非常に便利です。

特筆すべきは、range関数が遅延評価(lazy evaluation)に基づいて動作する点です。すなわち、rangeはあらかじめすべての整数をメモリ上に展開せず、必要なタイミングで値を生成するイテレータ的な振る舞いをします。そのため、非常に大規模な数列を扱う場合でも、メモリの使用量を抑えることが可能です。

例えば、1から1000万までの整数を扱う場合、すべての整数をリストとして保持すると大量のメモリを消費しますが、rangeを使えば必要最小限のメモリだけで済みます。これはPythonのメモリ効率を考える上で重要なポイントです。

rangeは主にforループと組み合わせて使用されることが多く、特定回数の繰り返し処理や、リスト・文字列などのインデックスベースのアクセス、等差数列の生成など、様々な場面で活躍します。Python3ではrange自体がイテレータのような振る舞いをするオブジェクトを返します。

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基本構文

Pythonのrange関数は、最大で3つの引数を取ることができます。

range(stop) range(start, stop) range(start, stop, step)
  • start: シーケンスの開始値(省略時は0)
  • stop: シーケンスの終了値(この値は含まれない)

step: 増分(省略時は1)最も基本的な使い方は終了値のみを指定する方法です。

# 基本的なrangeの使用法(0から始まり、指定した数未満まで) for i in range(3): print(f"カウント: {i}")

実行結果:

カウント: 0
カウント: 1
カウント: 2

開始値と終了値を指定することもできます。この場合、指定した開始値から始まり、終了値の直前で終わります。

# 開始値と終了値を指定 for i in range(2, 5): print(f"動物番号: {i}")

実行結果:

動物番号: 2
動物番号: 3
動物番号: 4

実用例と活用テクニック

Pythonにおけるrangeは一見シンプルな関数ですが、その用途は多岐にわたります。
ここではrangeの実用的な使用例を通して、プログラミングにおける様々な場面での活用方法を紹介します。
初心者の方でも理解しやすいように、具体的なコード例と共に解説していきます。rangeの柔軟性と効率性を理解することで、より洗練されたPythonプログラムを書けるようになるでしょう。それでは、実際のコード例を見ていきましょう。

基本的なループ処理

rangeを使った最も一般的な用途は、特定回数の繰り返し処理です。forループと組み合わせることで、指定した回数だけ処理を繰り返すことができます。このパターンはカウンター変数が必要な場合によく使われ、シンプルかつ可読性の高いコードになります。

例えば、「○回目の処理」や「○番目の要素を取り出す」といった、順番を意識した処理を行いたい場合に頻出する構文です。このような場合、range(n)とすることで、0からn-1までの整数が順番に生成され、それをループのカウンター変数として利用できます。

animals = ['イヌ', 'ネコ', 'ウサギ'] for i in range(3): print(f"{i+1}番目の動物: {animals[i]}")

実行結果:

1番目の動物: イヌ
2番目の動物: ネコ
3番目の動物: ウサギ

このコードでは、range(3)により0, 1, 2という3つの整数が順番に生成され、それぞれ変数iに代入されながらanimals[i]という形でリストの要素にアクセスしています。また、出力には「1番目」から始まる自然な表現をするために、i+1としています。

範囲指定とステップ値

rangeは開始値、終了値に加えて、ステップ値(増分)も指定できます。これにより、等差数列や特定のパターンをもった整数のシーケンスを簡単に生成できます。
例えば、偶数や奇数だけを取り出したい場合や、2つおき・5つおきといった特定の間隔で処理を行いたい場合に非常に役立ちます。

for i in range(1, 11, 2): print(f"奇数: {i}")

実行結果:

奇数: 1
奇数: 3
奇数: 5
奇数: 7
奇数: 9

このコードでは、range(1, 11, 2)により、1から始まり、11未満まで2ずつ増加する整数(1, 3, 5, 7, 9)が順に生成され、それぞれ変数iに代入されながらprintによって出力されています。

リスト生成との組み合わせ

rangeはリスト内包表記と組み合わせることで、特定のパターンを持つリストを簡潔に生成できます。整数範囲に基づく計算結果や、インデックスを活用したデータ変換など、データ処理の初期段階でよく使われるテクニックです。

例えば、「あるリストの各要素に番号をつけて表示したい」といったケースでは、rangeでインデックスを生成し、それを使って各要素にアクセスしながら、新しいリストを組み立てることができます。

animals = ['イヌ', 'ネコ', 'ウサギ', 'ハムスター'] animal_info = [f"{i+1}: {animals[i]}" for i in range(len(animals))] print(animal_info)

実行結果:

['1: イヌ', '2: ネコ', '3: ウサギ', '4: ハムスター']

このコードでは、range(len(animals))によってインデックス(0〜3)が生成され、それぞれを変数iに代入しながら、animals[i]でリストの各要素にアクセスしています。
同時に、f"{i+1}: {animals[i]}"の形式で要素に番号をつけ、新たな文字列のリストanimal_infoを内包表記で構築しています。

このように、元のリストから新しい形のリストを作る処理は、データの整形や表示を行う場面で非常に効果的です。

逆順の整数シーケンス

rangeを使って逆順の整数のシーケンスを生成することもできます。開始値を終了値より大きく設定し、負のステップ値を指定することで、降順のシーケンスが得られます。カウントダウンやリストの逆順処理など、様々な場面で役立ちます。

例えば、カウントダウン処理や逆順ループ処理を行いたいときに非常に便利です。特定の範囲を後ろから順に処理したいケースでは、range(開始値, 終了値, -1)という構文で直感的に実現できます。

for i in range(5, 0, -1): print(f"カウントダウン: {i}")

実行結果:

カウントダウン: 5
カウントダウン: 4
カウントダウン: 3
カウントダウン: 2
カウントダウン: 1

このコードでは、range(5, 0, -1)とすることで、5から始まり、1まで1ずつ減少していく整数列を生成しています。

注意点として、rangeの終了値は含まれないため、0は出力に含まれません。つまり、range(5, 0, -1)は「5, 4, 3, 2, 1」という5つの整数を生成することになります。

条件分岐との組み合わせ

rangeで生成した整数を条件分岐と組み合わせることで、特定のパターンやルールに基づく処理を実装できます。

例えば、偶数と奇数で異なる処理を行ったり、特定の間隔で別の処理を挿入したりするような場合に使用します。

animals = ['イヌ', 'ネコ', 'ウサギ', 'ハムスター', 'モルモット'] for i in range(len(animals)): if i % 2 == 0: print(f"偶数位置: {animals[i]}")

実行結果:

偶数位置: イヌ
偶数位置: ウサギ
偶数位置: モルモット

このコードでは、range(len(animals))によって0〜4の整数が順に生成され、変数iに代入されています。i % 2 == 0という条件式により、偶数インデックスである0、2、4に対応する要素(「イヌ」「ウサギ」「モルモット」)のみが出力されます。

インデックスアクセス

rangeはシーケンス(リストや文字列など)の要素にインデックスでアクセスする際に非常に便利です。len関数と組み合わせることで、シーケンスの長さに関係なく、すべての要素に対して処理を適用できます。

例えば、「各要素に番号を付けて表示したい」といったケースでよく使われます。特に、要素の内容だけでなく、その並び順も併せて扱いたい場面で活躍します。

animals = ['イヌ', 'ネコ', 'ウサギ', 'ゾウ', 'キリン'] for i in range(len(animals)): print(f"動物{i}: {animals[i]}")

実行結果:

動物0: イヌ
動物1: ネコ
動物2: ウサギ
動物3: ゾウ
動物4: キリン

このコードでは、len(animals)によりリストの要素数(ここでは5)が取得され、それに基づいてrange(5)が生成されます。その結果、iには0から4までの整数が順番に代入され、animals[i]を通じて各要素にアクセスしています。

多重ループでの活用

複数のrangeを使った多重ループを構築することで、より複雑なパターンや多次元データの処理が可能になります。

例えば、マトリックス操作や座標ベースの処理、複数のリスト間の組み合わせなどに活用できます。

animals = ['イヌ', 'ネコ'] colors = ['シロ', 'クロ'] for i in range(len(animals)): for j in range(len(colors)): print(f"{colors[j]}{animals[i]}")

実行結果:

シロイヌ
クロイヌ
シロネコ
クロネコ

このコードでは、外側のforループが動物のリストを、内側のforループが色のリストを処理しています。それぞれのループでrange(len(...))を使うことで、インデックスを利用したアクセスを実現しています。結果として、すべての色と動物の組み合わせを網羅的に出力することができます。

イテレータとしての特性

Python3でのrangeは、実際にすべての整数を一度にメモリに展開せず、必要に応じて値を生成するイテレータのような挙動をします。これにより大きな範囲を扱う際にもメモリ効率が良く、リストに変換することで具体的な値のリストを得ることもできます。

例えば、「1から1000万までの整数を順に処理したい」といった場面では、すべての整数をリストにしてしまうと非常に多くのメモリを消費してしまいます。しかし、range(1, 10000001)を使えば、あくまで範囲だけを記憶した軽量なオブジェクトが生成され、順次必要な整数を取り出していくため、メモリ効率の良い処理が実現できます。

一方で、場合によってはrangeオブジェクトの中身をすべて確認したいときもあります。そのようなときには、list関数で明示的にリストへと変換することができます。

r = range(1, 6) print(r) numbers = list(r) print(numbers)

実行結果:

range(1, 6)
[1, 2, 3, 4, 5]

このコードでは、range(1, 6)によって1から5までの範囲が定義され、rという変数に格納されています。最初のprint(r)は、オブジェクトとしてのrangeをそのまま表示するため、「range(1, 6)」と出力されます。続いて、list(r)でリストに変換した結果を出力することで、実際に含まれている整数が [1, 2, 3, 4, 5] という形で確認できます。

まとめ

Pythonにおけるrangeは、連続した整数のシーケンスを効率的に生成するための強力なツールです。

メモリ使用を最小限に抑えながら、開始値・終了値・ステップ値を柔軟に指定して整数範囲を作成できます。forループでの繰り返し処理、リストのインデックスアクセス、リスト内包表記との組み合わせなど、多くの場面で活躍します。

特に大きな整数範囲を扱う場合や、パターン化された整数のシーケンスが必要な場合に、rangeの真価が発揮されます。また、逆順シーケンスの生成や条件付き処理との組み合わせも簡単です。

Pythonプログラミングの基本スキルとして、range関数の使い方をしっかりマスターしておくことをお勧めします。

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