教育活用事例
全学データサイエンス教育におけるpaizaラーニング活用の背景と方法
〜同志社大学 宿久先生 講演レポート〜
2025年11月27日(木)に開催されたウェビナー「大学におけるデータサイエンス教育最前線!」にて、同志社大学の宿久洋先生(同志社データサイエンス・AI教育プログラム運営委員会委員長/文化情報学部教授)にご登壇いただきました。本稿では、講演で紹介いただいた「全学の数理・データサイエンス・AI教育プログラムにおけるpaizaラーニング活用事例」について、paiza目線でそのポイントを報告します。
導入:全学へのデータサイエンス教育の展開
現在、多くの大学で「数理・データサイエンス・AI教育プログラム(MDASH)」の導入が進んでいますが、学部の構成や学校の規模によってさまざまな課題も出てきています。 そうした中、同志社大学では2022年度からDDASH(Doshisha Approved Program for Data science and AI Smart Higher Education)を開始し全学生を対象に展開しています。
ここでは、約2万5千人もの学生の「多様性」と、全学教育の「規模の大きさ」という両立が難しい課題に対し、同大学がどのようにカリキュラムを組み、paizaラーニングを含めた学習サポート体制を構築しているかについてご紹介します。
1. 2万5千人規模の教育で直面した「多様性」の課題
総合大学で全学必修レベルのプログラムを導入するのは簡単なことではありません。特に、学生一人ひとりのバックグラウンドや興味、学習環境が異なる場合、全員に画一的な方法で教えるのには限界もあります。DDASHを開始する際、同志社大学が直面した主な課題は以下の3点でした。
受講生が多いこと
全学の在籍者25,444人のうち、プログラム履修者が約7,736名にもなること
学生の背景が多種多様
4学部16研究科の学生が集まるため、文系・理系といった簡単な区分だけではなく前提知識も人によって全く異なること
学習環境の違い
学部によって時間割が異なり、キャンパスも2箇所(今出川・京田辺)に分かれているため、学習環境を統一しにくいこと
これらの課題は、個人のPC環境設定が必要なプログラミング学習においてもハードルとなります。そこで同大学は、意欲やスキルレベルが異なる学生全員に対応できるよう、体系的なプログラムを用意しました。
2. 学生のレベルに合わせた「3段階のプログラム」
同志社大学では、全学生に同じ内容を提供するのではなく、個々のレベルに合わせて段階的に学べる仕組みを作りました。基礎をしっかり身につける段階から、専門的に学びたい学生まで対応できる設計です。
上記のように、まずは「DDASH-L」でリテラシー学習のスタートダッシュをアシストしつつ、やる気のある学生には「応用(DDASH-A)」や「副専攻」への道を段階的に用意することで、多くの学生が自分に合った学び方ができるようになっています。
次にDDASHにおけるサポート環境について紹介します。
3. 適材適所で使い分ける学習ツール
DDASHプログラムでは、上述したような幅広い学生層の学習をサポートする手段として、ICTを効果的に活用して授業外の学習サポート体制を構築しています。その1つがAIを活用したチャットボット(DAIB)、そしてもう1つがプログラミング学習を支援するpaizaラーニングです。
学習サポート機能:DAIB(Doshisha AI Buddy)
大学独自に開発された生成AIチャットボットです。授業の内容に特化しており、学生が質問するとすぐに回答や参考資料、関連動画を教えてくれます。AIを活用して困ったときにすぐに質問できる体制を準備することで、インタラクティブに近い学習環境を目指しています。
プログラミング学習:paizaラーニング
プログラミング学習では、基礎的な知識の習得と実際にコードを書く実践練習が必要になります。このインプットとアウトプットを実行できるのが自習用教材として導入された「paizaラーニング」です。授業外の時間を使って、実際に手を動かす練習ができます。
paizaラーニングを導入したことで、同大学で人数の多い文系(特に社会系)の学生に授業外でプログラミングやアルゴリズムを学ぶ機会を準備することができるようになりました。 paizaラーニングにもAIを学ぶ講座を随時追加していますが、データサイエンスを学びながらDAIBを活用すること自体が、学生にとってAIに対する理解促進にも繋がっていると感じました。
4. なぜ「paizaラーニング」を選んだのか?
続いて同志社大学がpaizaラーニングを導入した経緯をご紹介します。それは当時プログラミング学習に関して大学が抱えていた以下のような課題が発端でした。
・プログラミング学習は環境設定がハードルとなり、学習を始める前に挫折してしまう
・文系を含む全学を対象とすると、学生のスキル差が大きく評価も難しい
・数百人規模の学生に受講環境を準備する難しさがある
これらを解決する手段の1つとして導入されたのが「paizaラーニング」です。導入の決め手となったのは以下の3点です。
1. すぐに始められる
面倒な環境構築が不要でブラウザさえあればすぐに学習をスタートできるため、未経験者にとっての「最初の壁」を取り払うことができる
2. 隙間時間で学べる
1回3分程度の動画と演習問題のセットなので、忙しい学生でも少しずつ進められ、継続すれば発展レベルまで到達できる
3. 無料で使える
「学校フリーパス」を活用することで、全学規模でも費用を気にせず利用できる
具体的な活用方法
paizaラーニングの利用は申請制ですが、利用者は徐々に増加し2023年度の361名から2024年度には639名へと増加しました。現在ではDDASH履修者の「標準的な学習ツール」として定着しています。 また、paizaではMDASHのモデルカリキュラムとpaizaラーニングの対応表を公開していますが、DDASHの履修者にもわかりやすいように授業でも案内しています。これにより学生は、モデルカリキュラムに該当する学習項目を自分で選択して学習することができるようになっています。
プログラミング学習促進イベント
paizaではpaizaラーニングを活用したプログラミング学習促進施策として「paizaランクチャレンジ」を提供しています。これは一定の期間を設定し、同じ学校の仲間と一緒に競いながら集中してプログラミング学習に取り組んでもらうイベントです。そしてその取り組み状況に応じて頑張った学生を表彰することで、受賞者には達成感を、周囲の学生にもプログラミング学習に対する意識向上の機会になることを目指しています。
同志社大学でも、このDDASHに紐づくプログラミング学習促進イベントとしてランクチャレンジを実施しています。一般的には情報系の学生が上位を占める傾向がありますが、文系の学生が高いスキルを発揮して上位を占めるのが同大学の特徴です。
5. paizaラーニングに対する学生の声と成果
実際に利用した学生の声
経済学部3回生 Hさん(未経験からスタート)
「環境構築が不要ですぐ始められたのと、ゲーム感覚でレベルアップできるのが楽しかった。この学習経験を活かしてIT系ベンチャー企業から内定をもらえた」
経済学部1回生 Rさん(経験者)
「新しい言語を試したい時に準備がいらないのが楽でした。YouTubeよりも教材がまとまっていて質が高く学習しやすかった」
6. 課題と今後の展望
DDASHの参加者は年々増えており、基礎レベル(DDASH-L)の新規履修者は、開始当初の1,651名(2022年度)から3,181名(2024年度)へと倍増しています。一方で応用基礎レベル(DDASH-A)の履修者は基礎レベルに比べて少ない状況があります。これは理工系学部は忙しく、もともと学部のカリキュラムとして同じ分野の科目が設置されていることなどが要因ですが、DDASHの課題の1つでもあります。
また、今後の展望として、同志社大学ではさらに実践的な学びを強化する計画を立てています。座学で知識を学ぶだけではなく、その知識を活かす実践的学習の強化や個別最適化を目指しています。
・「データサイエンス・AI演習」の新設(2026年度~)
実際のデータや課題を使って分析を行う演習科目を開始予定
・「DDASH Hackathon」の開催
学んだ知識を使って課題解決に挑戦するハッカソンを、2026年2月頃に開催予定
以上が、同志社大学が実施している数理・データサイエンス・AI教育プログラムの概要とpaizaラーニングの活用方法です。
宿久先生に改めてお話をお伺いし、同大学の事例はまさにpaizaラーニングの以下のような特徴を最大限に活用いただいている事例となっていると感じました。
・初心者から上級者まで対応する幅広い学習コンテンツ
・短い動画学習やゲーム性のある学習ステップなど学生が取り組みやすい仕掛け
・授業からMDASH利用まで学内の様々な学習ニーズに対応する柔軟性
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paizaラーニング事務局:learning_free_pass@paiza.jp
■学校フリーパス案内ページ
https://paiza.jp/works/lp/free_pass
※1名様から体験申し込みも可能です。
■登録不要でお試しできる講座
https://paiza.jp/works/python/trial/python-trial-1/62001
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