Python abs関数の使い方

この記事のポイント

Pythonプログラミングを学ぶ上で重要な組み込み関数の一つがabs関数です。本記事では初心者の方にも理解しやすいよう丁寧に解説いたします。

  • 数値の絶対値を簡単に計算できる便利な組み込み関数
  • 整数や浮動小数点数、複素数にも対応した汎用性の高い機能
  • データ分析や数値計算プログラムで頻繁に活用される実用的な関数

以下では具体的なコード例とともに、実際の使用場面まで詳しくご紹介していきます。

目次

abs関数とは?

abs関数は、数値の絶対値を求めるための組み込み関数です。

絶対値とは、数直線上で原点からの距離を表す値で、常に0以上の値になります。例えば-5の絶対値は5、3の絶対値は3となります。abs関数は整数、浮動小数点数、複素数などさまざまな数値型に対応しており、引数として渡された数値の絶対値を返します。

この関数を使うことで、負の値を正の値に変換したり、2つの値の差の大きさを調べたりすることができます。

【関連】
Pythonをもっと詳しく学ぶならpaizaラーニング

基本構文

abs関数の基本的な書き方は非常にシンプルです。abs()の括弧内に絶対値を求めたい数値を指定するだけで使用できます。

# 負の整数の絶対値 result1 = abs(-10) print(result1)

出力結果

10
# 浮動小数点数の絶対値 result2 = abs(-3.14) print(result2)

出力結果

3.14

実用例

ここからは、abs関数の実践的な使用例をご紹介します。日常的なプログラミングでよく遭遇する場面を想定し、具体的なコードとともに解説していきます。これらのサンプルコードを通じて、abs関数がどのような場面で活用できるのか、そしてどのように記述すれば効果的なのかを学んでいただけます。

各例では実際に動作するコードを示し、出力結果も確認できるようになっています。実用的なプログラムを作成する際の参考として、ぜひ活用してください。

2つの数値の差を計算する

2つの数値の差の絶対値を求める処理は、データ分析や比較処理でよく使われます。

cat_weight = 4.2 dog_weight = 8.7 weight_diff = abs(cat_weight - dog_weight) print(f"ネコとイヌの体重差: {round(weight_diff, 1)}kg")

出力結果

ネコとイヌの体重差: 4.5kg

リストの要素の絶対値を一括変換

リスト内の全ての数値を絶対値に変換する処理では、map関数と組み合わせることで効率的に処理できます。

temperatures = [-15, 8, -3, 22, -7] abs_temps = list(map(abs, temperatures)) print(f"気温の絶対値: {abs_temps}")

出力結果

気温の絶対値: [15, 8, 3, 22, 7]

条件分岐での絶対値判定

絶対値を使った条件判定は、許容範囲内かどうかを確認する際に便利です。

target = 100 rabbit_jump = 95 if abs(target - rabbit_jump) <= 10: print("ウサギのジャンプは目標に近い距離です")

出力結果

ウサギのジャンプは目標に近い距離です

数値の正負を無視した比較

絶対値を使うことで、数値の大小関係を正負に関係なく比較できます。

elephant_move = -12 mouse_move = 8 if abs(elephant_move) > abs(mouse_move): print("ゾウの方がより大きく移動しました")

出力結果

ゾウの方がより大きく移動しました

平均値からの偏差を計算

統計処理において、各データが平均値からどの程度離れているかを測定する際に使用されます。

scores = [85, 92, 78, 96, 89] average = sum(scores) / len(scores) deviations = [abs(score - average) for score in scores] print(f"平均点からの偏差: {deviations}")

出力結果

平均点からの偏差: [3.0, 4.0, 10.0, 8.0, 1.0]

距離計算での活用

2点間の距離を計算する際、各軸での差の絶対値を求める処理でよく使用されます。

a_x, a_y = 3, 7 b_x, b_y = 8, 2 distance = abs(a_x - b_x) + abs(a_y - b_y) print(f"2点のマンハッタン距離: {distance}")

出力結果

2点のマンハッタン距離: 10

エラー計算での使用

予測値と実際の値の誤差を計算する際に、絶対誤差を求めるために使われます。

predicted_height = 175.5 actual_height = 172.8 error = abs(predicted_height - actual_height) print(f"身長予測の誤差: {round(error, 1)}cm")

出力結果

身長予測の誤差: 2.7cm

複素数の大きさ計算

複素数の絶対値(モジュラス)を計算することで、複素平面上での原点からの距離を求められます。

complex_num = 6 + 8j magnitude = abs(complex_num) print(f"複素数の大きさ: {magnitude}")

出力結果

複素数の大きさ: 10.0

まとめ

abs関数は、数値の絶対値を求めるための組み込み関数です。整数、浮動小数点数、複素数など幅広い数値型に対応しており、多くのプログラミング場面で活用できます。データ分析、統計処理、数値計算、条件判定など、幅広い用途で重宝する汎用性の高い関数といえます。

abs関数の活躍する場面

  • データの前処理やクリーニング作業における異常値検出
  • 機械学習での誤差計算や損失関数の実装
  • 統計分析での偏差や分散の計算処理

重要なポイント

  • 常に0以上の値を返すため安全な数値処理が可能
  • 複素数にも対応し数学的計算の幅を広げる機能
  • 他の関数と組み合わせることで高度な処理を実現

abs関数をマスターすることで、より効率的で読みやすいPythonコードを書けるようになります。基本的な使い方から応用例まで理解し、日々のプログラミングに活かしていきましょう。

レベルを更に上げたい方はpaizaプログラミングスキルチェックへ

  1. paizaラーニングトップ
  2. リファレンス
  3. Pythonのリファレンス記事一覧
  4. Python abs関数の使い方