Pythonの演算子とは?基本から応用まで初心者向けに解説

この記事のポイント

プログラミングにおける、「あれを計算したい」「この条件で動かしたい」という要求の鍵は、演算子が握っているといっても過言ではありません。

この記事を読むと、次のようなことがわかります。

  • 算術演算子を使った基本的な計算処理の方法
  • 比較演算子と論理演算子を使った条件分岐の書き方
  • 演算子の優先順位
  • 切り捨て除算や余り演算などの実用的な演算子の活用法

演算子は、プログラミングをする上で欠かせません。

この記事では、プログラミング初心者の方が最短で演算子を使いこなせる状態になるよう、Pythonの演算子の基本から実用的なテクニックまでを解説します。

目次

演算子の基本

プログラミングにおいて、演算子は計算や比較、論理的な判断を行うための重要な要素です。

演算子を理解することで、プログラムで「計算する」「比べる」「判断する」といった処理を自由に書けるようになります。

数値計算から条件分岐まで、あらゆる場面で使用される基本的な機能です。ここではまず演算子の基本的な概念を理解し、その後代表的な算術演算子について学んでいきましょう。

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演算子の定義と役割

演算子とは、数値や文字列などのデータに対して何らかの操作を行うための記号です。

例えば、足し算を行う「+」や、値を比べる「==」などがあります。Pythonでは演算子を使うことで、データの計算や比較を簡潔に記述できます。

演算子の役割

演算子は、プログラムの中でさまざまな役割を果たします。

  • 数値を計算する(3 + 5 = 8)
  • 値を比べる(10 > 5 は真)
  • 条件を組み合わせる(AかつB)

こういった操作を記号で表現することで、プログラムがシンプルで読みやすくなります。

次のコードは、基本的な演算子の使用例です。

cat_count = 3 dog_count = 5 total_animals = cat_count + dog_count print(total_animals)

出力結果

8

このように、変数に入っている数値も「+」記号で足し算することができます。

代表的な算術演算子の紹介

Pythonには、次のような算術演算子があります。

主な算術演算子一覧

  • +:加算(足し算)
  • -:減算(引き算)
  • *:乗算(掛け算)
  • /:除算(割り算)
  • //:切り捨て除算(割り算の整数部分)
  • %:余り(割り算の余り)
  • **:べき乗(累乗)

これらは数値計算の基本となる演算子で、日常的なプログラミングで頻繁に使用されます。

lions = 12 tigers = 4 print(lions + tigers) # 加算 print(lions - tigers) # 減算 print(lions * tigers) # 乗算 print(lions / tigers) # 除算 print(lions // tigers) # 切り捨て除算 print(lions % tigers) # 余り print(tigers ** 2) # べき乗

出力結果

16
8
48
3.0
3
0
16

それぞれの演算子がどのような処理をしているかが確認できますね。除算の「/」と「//」の違いには注意しましょう。「/」は小数点を含む結果を返し、「//」は整数部分のみを返します。

比較演算子と論理演算子

プログラムでは、値を比較したり、複数の条件を組み合わせたりする必要があります。

比較演算子は二つの値を比べて真偽を判定し、論理演算子は複数の条件をまとめて判断します。

この2つの演算子を理解することで、より柔軟で実用的なプログラムを作成できるようになるでしょう。

例えば、「もし年齢が18歳以上なら」という条件や、「雨が降っていて、かつ気温が低いなら」といった複合的な条件の表現です。

比較演算子の基本

比較演算子は二つの値を比較してTrueまたはFalseという結果を返す役割を持っています。

主な比較演算子を確認しておきましょう。

  • ==:等しい
  • !=:等しくない
  • <:未満(小さい)
  • <=:以下(小さいか等しい)
  • >:より大きい
  • >=:以上(大きいか等しい)

比較演算子は、if文やwhile文などの条件文でよく使われます。比較の結果は、TrueまたはFalseという真偽値で返されます。

TrueとFalseは、条件が「当てはまるか、当てはまらないか」を表す値です。

Trueは「当てはまる(真)」、Falseは「当てはまらない(偽)」を意味します。

rabbit_count = 8 hamster_count = 5 if rabbit_count > hamster_count: print("ウサギの方が多いです")

出力結果

ウサギの方が多いです

この例では、rabbit_count > hamster_countという比較が行われ、8は5より大きいためTrueとなり、printが実行されるという形です。

比較演算子を使うと、「もし〜なら」という条件判断を表現することができます。

論理演算子と条件式の活用

論理演算子のand、or、notを使うことで、複数の条件を組み合わせた複雑な判定ができます。

主な論理演算子は、次の通りです。

  • and:両方の条件が当てはまる(True)場合にTrueになる
  • or:どちらか一方の条件が当てはまる場合にTrueになる
  • not:条件を反転させる(TrueをFalseに、FalseをTrueにする)

論理演算子を使いこなせることができれば、実際のプログラムでよくある複合的な条件分岐を実現できるようになります。

bears = 3 wolves = 7 minimum_count = 2 if bears > minimum_count and wolves > minimum_count: print("クマもオオカミも十分な数がいます")

出力結果

クマもオオカミも十分な数がいます

この例では、bears > minimum_countとwolves > minimum_countの両方が当てはまる(True)ため、全体もTrueとなり、メッセージが表示されます。

論理演算子の使い分けは、次のようなイメージです。

  • and:「AかつB」のように、すべての条件を満たす必要がある場合
  • or:「AまたはB」のように、どれか一つでも満たせばよい場合
  • not:「Aではない」のように、条件を逆にしたい場合

複雑な条件であればあるほど難しくなってくるので、最初は簡単な条件分岐を記述することから練習してみましょう。

演算子の優先順位と評価順序

複雑な計算式では、どの演算子から先に計算されるかを理解することが重要です。基本的には数学と同じルールです。

例えば、「2 + 3 * 4」という式では、数学と同じように、掛け算が先に計算されます。

括弧を使うことで意図した順序で計算を実行させることもできます。

ここでは優先順位の基本ルールと、括弧による制御について説明します。

演算子優先順位の基本ルール

演算子は、計算や処理される順番に優先順位があります。

算術演算子の優先順位

  1. べき乗(**)
  2. 乗除算(*、/、//、%)
  3. 加減算(+、-)

論理演算子の優先順位

  1. not
  2. and
  3. or

この順序を理解することで、意図した計算結果を得ることができます。

elephants = 2 giraffes = 3 zebras = 4 result = elephants + giraffes * zebras print(result)

出力結果

14

この例では、giraffes * zebras(3 4 = 12)が先に計算され、その後にelephants(2)が足されて14になっています。

括弧による評価順序の変更

括弧を使うことで、演算子の優先順位に関係なく、意図した順序で計算できます。これも数学と同じルールですね。

また、複雑な式では括弧を適切に使うことで、コードの可読性も向上します。

特に論理演算子を組み合わせる場合は、括弧で条件を明確にグループ化することが推奨されます。

monkeys = 5 birds = 8 fish = 12 without_brackets = monkeys + birds * fish with_brackets = (monkeys + birds) * fish print(f"括弧なし: {without_brackets}") print(f"括弧あり: {with_brackets}")

出力結果

括弧なし: 101
括弧あり: 156
  • 括弧なし:5 + (8 * 12) = 5 + 96 = 101
  • 括弧あり:(5 + 8) * 12 = 13 * 12 = 156

このように、括弧の有無で計算結果は大きく変わります。

特殊な演算子と応用的な使い方

Pythonには基本的な算術演算子以外にも、特定の用途に特化した演算子や、高度なプログラミング技術で使用される演算子があります。

こういった演算子を知っておくと、より効率的で洗練されたプログラムを作成できるようになります。

ここでは切り捨て演算子、行列演算、そして演算子オーバーロードについて解説します。

初心者のうちは、まず切り捨て演算子と余り演算子の使い方をマスターすることから始めましょう。

行列演算や演算子オーバーロードは、少し高度な内容なので、必要になったときに学ぶ形でも問題ありません。

切り捨て演算子とパーセント演算子

整数除算(//)は除算の結果を整数に切り捨て、余り演算(%)は除算の余りを求めます。

通常の除算(/)は小数点を含む結果を返しますが、切り捨て除算(//)は小数点以下を切り捨てて整数部分だけを返します。

余り演算(%)は、割り算をしたときの余りを求めます。例えば、10を3で割ると3余り1なので、10 % 3は1になります。

一見地味に見える演算子ですが、実はさまざまな場面で役立ちます。例えば、時間の計算(秒を分と秒に変換する)や、偶数・奇数の判定といったケースです。

total_sheep = 23 pens = 5 sheep_per_pen = total_sheep // pens # 1つの囲いあたりの羊の数 remaining_sheep = total_sheep % pens # 余る羊の数 print(f"1つの囲いに{sheep_per_pen}匹、{remaining_sheep}匹余ります")

出力結果

1つの囲いに4匹、3匹余ります

このコード例では、次のような計算が行われています。

  • 23 // 5 = 4(23を5で割った整数部分)
  • 23 % 5 = 3(23を5で割った余り)

23匹の羊を5つの囲いに分けると、1つの囲いに4匹ずつ入れることができ、3匹余ることがわかります。

行列演算と演算子の活用

NumPyライブラリを使用すると、配列や行列に対して演算子を適用できます。

通常の算術演算子が要素ごとの演算として機能し、複雑な数値計算を簡潔に記述することができます。科学計算やデータ分析の分野では必須の知識です。

ちなみに、NumPyとは数値計算を効率的に行うためのライブラリです。大量の数値データを一度に処理できるため、データ分析や機械学習などでよく使われます。

import numpy as np cats_data = np.array([3, 5, 2]) dogs_data = np.array([4, 2, 6]) total_pets = cats_data + dogs_data print(total_pets)

出力結果

[7 7 8]

このコード例では、配列に対して次のような計算が行われています。

  • 1番目:3 + 4 = 7
  • 2番目:5 + 2 = 7
  • 3番目:2 + 6 = 8

このように、それぞれの位置にある数値同士が自動的に計算されます。

NumPyは少し高度な内容なので、Pythonの基本を理解してから学ぶことをおすすめします。もし、データ分析や機械学習に興味があるという方は、学ぶと将来的に役立つでしょう。

演算子オーバーロードの基礎

演算子オーバーロードとは、自分で作ったクラスに対して、「+」や「-」などの演算子を使えるようにする技術です。より直感的で読みやすいコードが書けるようになるというメリットがあります。

例えば__add__メソッドを定義すると、そのクラスのインスタンスに対して「+」演算子を使用できるようになります。

class Animal: def __init__(self, count): self.count = count def __add__(self, other): return Animal(self.count + other.count) pandas = Animal(4) koalas = Animal(6) total = pandas + koalas print(f"合計: {total.count}匹")

出力結果

合計: 10匹

コードの流れを確認しておきましょう。

  • Animalクラスには動物の数を保存する
  • __add__メソッドで「+」演算子の動作を定義する
  • pandas + koalasと書くと、__add__メソッドが呼ばれる
  • 結果として、二つの動物の数を合計した新しいAnimalオブジェクトが作られる

初心者の方にとって、演算子オーバーロードは難しいと思います。

まずはクラスの基本をしっかり理解してから学ぶことをおすすめします。最初のうちは、このような機能があることだけ知っておけば十分です。

よくある質問(Q&A)

Q: 除算の「/」と「//」はどう違うの?

A: 通常の除算「/」は小数点を含む結果を返しますが、「//」は切り捨て除算で整数部分のみを返します。

例えば、7/3は2.333...ですが、7//3は2になります。データを整数で扱いたい場合に便利です。

Q: 比較演算子で文字列も比較できる?

A: はい、可能です。

文字列は辞書順(アルファベット順)で比較されます。「apple」<「banana」はTrueになります。ただし、大文字と小文字では大文字の方が小さい値として扱われるので注意が必要です。

Q: 演算子の優先順位を覚えるコツは?

A: 数学の基本ルールと同様に考えると覚えやすいです。

掛け算・割り算が足し算・引き算より先、という基本を押さえ、迷った場合は括弧を使って明示的に順序を指定するのが安全です。

Q: 論理演算子のandとorの使い分けは?

A: andは全ての条件が満たされる必要がある場合、orはいずれかの条件が満たされればよい場合に使います。

「年齢が18歳以上AND免許を持っている」なら両方必要、「雨ORくもり」ならどちらかで十分、といった具合です。

Q: 余り演算子「%」の実用的な使い道は?

A: 偶数・奇数の判定(n%2==0なら偶数)、循環処理(配列のインデックスを循環させる)、時間計算(秒を分と秒に分ける)などに使われます。

プログラミングでは、意外と頻繁に使用する演算子です。この機会にぜひ覚えておきましょう。

まとめ

Python演算子は、プログラミングにおける計算や判定処理の基礎となる重要な要素です。

算術演算子による数値計算や、比較・論理演算子を使った条件分岐は、あらゆる場面で活用されます。

この記事で学んだ内容を振り返りましょう。

重要なポイント

  • 算術演算子(+、-、*、/など)で基本的な計算ができる
  • 比較演算子(==、>、<など)で値を比べて条件判断ができる
  • 論理演算子(and、or、not)で複数の条件をまとめて判断できる
  • 演算子には優先順位があり、括弧で計算の順序を制御できる
  • 切り捨て除算(//)と余り演算(%)は実用的な場面で役立つ

演算子は、プログラミングで「計算する」「比べる」「判断する」といった基本的な処理を表現するための便利な道具です。

最初は適切に扱うのが大変かもしれませんが、実際に手を動かしてコードを書いていくうちに、自然と使えるようになります。

特に算術演算子と比較演算子は、ほぼすべてのプログラムで使われているといっても過言ではありません。
実際にプログラミングに触れていく中で、演算子の重要性に気付いていくでしょう。

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