Pythonのエラーの種類と対処法を初心者向けに基礎から詳しく解説

この記事のポイント

Pythonプログラミングでよく遭遇するエラーについて、その種類と対処法を初心者向けに分かりやすく解説します。

  • 構文エラーと実行時エラーの基本的な違いと発生タイミング
  • SyntaxErrorやIndentationErrorなど代表的なエラーの原因と修正方法
  • データ操作やオブジェクト操作時に起こるエラーの対処法

これらのポイントを押さえることで、エラーに慌てることなく適切に対処できるようになります。

目次

Pythonでのエラーの基礎知識

Pythonでプログラミングを行う際、エラーに遭遇することは避けられません。しかし、エラーは問題の場所と原因を教えてくれる重要な情報源でもあります。エラーの種類と特徴を理解することで、プログラムの修正を効率的に進められるようになります。

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エラーと例外の違い

プログラミングにおいて、エラーと例外という用語はしばしば混同して使われますが、厳密には異なる概念です。

エラーは主にプログラムの文法的な間違いや致命的な問題を指し、発生するとプログラムの実行が強制的に停止してしまいます。一方、例外はプログラム実行中に発生する予期しない状況を指し、コード内で適切に処理することでプログラムの実行を続けることが可能です。Pythonでは多くの場合、これらの現象をまとめてエラーと呼んでいます。

エラーが発生する主なタイミング

Pythonでエラーが発生するタイミングは主に2つあります。

1つは構文解析時です。これは、Pythonがコードを読み込み、機械が理解できる実行可能な形式に変換しようとする段階で発生します。この時点で発生するエラーは、主に文法を間違えていることが原因です。

2つめは実行時です。これは、プログラムが実際に動作している最中に発生するエラーで、存在しない変数を使用したり、不正な値を処理しようとしたりした場合に起こります。構文解析時のエラーはプログラムを実行する前に発見できますが、実行時エラーは特定の入力値や処理経路をたどった条件下でのみ現れることがあります。

構文エラーの種類と対処法

構文エラーは、Pythonの文法ルールに従っていないコードを書いた際に発生するエラーです。これらのエラーはプログラムの実行前に検出されるため、比較的発見しやすいエラーといえます。文法のルールを正確に理解し、コードを正しく記述することで回避できます。

SyntaxError

SyntaxErrorは、Pythonの文法ルールに違反したコードを記述した際に発生する、最も基本的なエラーです。括弧の閉じ忘れやコロンの付け忘れ、不正な演算子(例:=と==の混同)の使用などが主な原因となります。

以下は括弧の閉じ忘れによるSyntaxErrorの例です:

animals = ["イヌ", "ネコ", "ウサギ" print(animals)

出力結果(※エラーになります)

 File "/workspace/Main.py", line 1
    animals = ["イヌ", "ネコ", "ウサギ"
              ^
SyntaxError: '[' was never closed

正しくは以下のように括弧を閉じる必要があります:

animals = ["イヌ", "ネコ", "ウサギ"] print(animals)

出力結果

['イヌ', 'ネコ', 'ウサギ']

IndentationError

IndentationErrorは、Pythonのインデント(字下げ)が正しくない場合に発生するエラーです。Pythonでは、インデントによってブロック構造(if文の本体やforループの処理範囲)を表現するため、同じ幅の一貫したインデント(通常スペース4つ)が必要です。

以下はインデントが不正な例です:

animals = ["イヌ", "ネコ"] for animal in animals: print(animal)

出力結果(※エラーになります)

 File "/workspace/Main.py", line 3
    print(animal)
    ^
IndentationError: expected an indented block after 'for' statement on line 2

正しくは以下のように4スペースでインデントします:

animals = ["イヌ", "ネコ"] for animal in animals: print(animal)

出力結果

イヌ
ネコ

実行時エラーの代表例と対処法

実行時エラーは、コードの文法的には正しくても、プログラムの実行中に問題が発生した際に起こるエラーです。このエラーは実行してみるまで気づかない場合が多いので、適切な対処法を知っておくことが重要です。具体的には、変数の取り扱いや型の整合性に注意することで、多くの実行時エラーを回避できます。

NameError

NameErrorは、プログラム内でまだ定義されていない変数や、インポートしていない関数を呼び出そうとした際に発生するエラーです。変数名のスペルミスや、変数を定義する前に使用した場合によく起こります。

以下は未定義変数を使用した例です:

print(favorite_animal)

出力結果(※エラーになります)

Traceback (most recent call last):
  File "/workspace/Main.py", line 1, in <module>
    print(favorite_animal)
          ^^^^^^^^^^^^^^^
NameError: name 'favorite_animal' is not defined

正しくは以下のように変数を事前に定義します:

favorite_animal = "パンダ" print(favorite_animal)

出力結果

パンダ

TypeError

TypeErrorは、互換性のない異なる型同士で不適切な操作を行おうとした際に発生するエラーです。例えば、文字列と数値を直接足し算しようとした場合や、リストと数値を掛け算以外の演算で組み合わせようとした場合に起こります。

以下は文字列と数値を足そうとした例です:

animal_count = "ライオン" + 3

出力結果(※エラーになります)

Traceback (most recent call last):
  File "/workspace/Main.py", line 1, in <module>
    animal_count = "ライオン" + 3
                   ~~~~~~~~~~~^~~
TypeError: can only concatenate str (not "int") to str

正しくは以下のように型を合わせます:

animal_count = "ライオン" + str(3) print(animal_count)

出力結果

ライオン3

ValueError

ValueErrorは、渡されたデータの型自体は正しいものの、その値の内容が関数にとって不適切であった際に発生するエラーです。具体的には、数値変換できない文字列をint()関数に渡したり、負の数に対して平方根を計算しようとしたりした場合に起こります。

以下は数値変換できない文字列の例です:

animal_name = "ゾウ" animal_number = int(animal_name)

出力結果(※エラーになります)

Traceback (most recent call last):
  File "/workspace/Main.py", line 2, in <module>
    animal_number = int(animal_name)
                    ^^^^^^^^^^^^^^^^
ValueError: invalid literal for int() with base 10: 'ゾウ'

正しくは以下のように数値形式の文字列を使用します:

animal_count = "5" animal_number = int(animal_count) print(animal_number)

出力結果

5

データ操作時によくあるエラーと対処法

データ操作を伴うプログラム(例えばリストや辞書、ファイルなどを扱う場合)では、それぞれのオブジェクトに特有のエラーが発生することがあります。これらのエラーは、存在しない要素にアクセスしたり、ファイルやモジュールが見つからなかったりした場合に起こります。これらのエラーを防ぐためには、データの範囲や存在を事前に確認することが効果的です。

IndexError

IndexErrorは、リストやタプルにおいて範囲外のインデックスにアクセスしようとした際に発生するエラーです。リストの要素数を超えたインデックスを指定した場合によく起こります。

以下は範囲外インデックスへのアクセス例です:

animals = ["トラ", "キリン"] print(animals[5])

出力結果(※エラーになります)

Traceback (most recent call last):
  File "/workspace/Main.py", line 2, in <module>
    print(animals[5])
          ~~~~~~~^^^
IndexError: list index out of range

正しくは以下のように範囲内のインデックスを使用します:

animals = ["トラ", "キリン"] print(animals[1])

出力結果

キリン

KeyError

KeyErrorは、辞書に存在しないキーを指定してアクセスしようとした際に発生するエラーです。キー名のスペルミスや、処理の過程ですでに削除されていたキーにアクセスした場合によく起こります。

以下は存在しないキーへのアクセス例です:

animal_ages = {"サル": 8, "ペンギン": 12} print(animal_ages["クマ"])

出力結果(※エラーになります)

Traceback (most recent call last):
  File "/workspace/Main.py", line 2, in <module>
    print(animal_ages["クマ"])
          ~~~~~~~~~~~^^^^^^^^
KeyError: 'クマ'

正しくは以下のように存在するキーを使用するか、get()メソッドを使います:

animal_ages = {"サル": 8, "ペンギン": 12} print(animal_ages["サル"]) print(animal_ages.get("クマ", "データなし"))

出力結果

8
データなし

ModuleNotFoundError

ModuleNotFoundErrorは、import文を使って外部モジュールをインポートしようとした際に、そのモジュールが見つからなかったために発生するエラーです。モジュール名のスペルミスや、環境にインストールし忘れたことが主な原因です。

以下は存在しないモジュールのインポート例です:

import animal_helper

出力結果(※エラーになります)

Traceback (most recent call last):
  File "/workspace/Main.py", line 1, in <module>
    import animal_helper
ModuleNotFoundError: No module named 'animal_helper'

正しくは以下のように標準ライブラリを使用するか、事前にモジュールをインストールします:

import random animals = ["ハムスター", "モルモット"] print(random.choice(animals))

出力結果(例)

ハムスター

※randomはPythonの標準ライブラリのモジュール。random.choice()関数を使うと、リストやタプルなどからランダムに要素を1つ選択できる。

FileNotFoundError

FileNotFoundErrorは、指定したファイルが存在しなかったために発生するエラーです。ファイルパスの間違いや、ファイルが削除されている場合によく起こります。

以下は存在しないファイルを開こうとした例です:

with open("animals.txt", "r") as file: content = file.read()

出力結果(※エラーになります)

Traceback (most recent call last):
  File "/workspace/Main.py", line 1, in <module>
    with open("animals.txt", "r") as file:
         ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
FileNotFoundError: [Errno 2] No such file or directory: 'animals.txt'

正しくは以下のようにファイルの存在を確認してから処理します:

import os if os.path.exists("animals.txt"): with open("animals.txt", "r") as file: content = file.read() else: print("ファイルが見つかりません")

出力結果

ファイルが見つかりません

オブジェクト操作時に起こるエラーと対処法

オブジェクト指向プログラミングでは、オブジェクトがもつ機能(メソッド)やデータ(属性)にアクセスする際に特有のエラーが発生します。具体的には、Noneオブジェクト(値がないことを示す特殊な値)や、存在しないメソッドを呼び出そうとした場合によく起こります。オブジェクトの状態を確認してから操作することで、これらのエラーを回避できます。

AttributeError

AttributeErrorは、オブジェクトに対して、存在しない属性やメソッドにアクセスしようとした際に発生するエラーです。Noneオブジェクトに対してメソッドを呼び出したり、間違ったメソッド名を使用したりした場合によく起こります。

以下はNoneオブジェクトに対するメソッド呼び出しの例です:

def find_animal(name): animals = {"イルカ": "海", "フクロウ": "森"} return animals.get(name) result = find_animal("ライオン") print(result.upper())

出力結果(※エラーになります)

Traceback (most recent call last):
  File "/workspace/Main.py", line 6, in <module>
    print(result.upper())
          ^^^^^^^^^^^^
AttributeError: 'NoneType' object has no attribute 'upper'

正しくは以下のようにNoneチェックを行うと、存在しない値を呼び出した時もエラーが出ずに処理されます:

def find_animal(name): animals = {"イルカ": "海", "フクロウ": "森"} return animals.get(name) result = find_animal("フクロウ") if result: print(result.upper()) else: print("動物が見つかりません") result_2 = find_animal("ライオン") if result_2: print(result_2.upper()) else: print("動物が見つかりません")

出力結果

森
動物が見つかりません

よくある質問(Q&A)

Q: エラーメッセージが英語で理解しにくいです

エラーメッセージは英語で表示されますが、特定のキーワードに注目すると理解しやすくなります。例えば「not defined」なら変数などが未定義であること、「out of range」なら配列などの範囲外へのアクセスを意味します。慣れるまでは翻訳ツール等を活用しましょう。

Q: どのエラーから優先的に修正すべきですか

まず構文エラーから修正しましょう。SyntaxErrorやIndentationErrorはプログラムが実行する前に発見できるので、修正も比較的簡単です。その後で実行時エラーに取り組むことで、デバッグを効率的に進められます。

Q: エラーを事前に防ぐ方法はありますか

コードエディタ等の構文チェック機能を活用し、変数名は分かりやすいものにしましょう。また、データ処理を行う前に、データの存在確認や型が期待通りであるかのチェックを行うと多くのエラーを防げます。

# 事前チェックの例 animals = ["カンガルー", "コアラ"] index = 1 if 0 <= index < len(animals): print(animals[index])

出力結果

コアラ

Q: try-except文はいつ使うべきですか

プログラムの実行を中断する可能性のある、予期しないエラーを補足する目的で使用します。特にファイル操作や外部APIとの通信など、外部との連携処理で特に有効です。ただし、基本的なミスによるエラーはコードの事前チェック等で防ぎましょう。

try:
    animal_count = int(input("動物の数を入力: "))
    print(f"動物は{animal_count}匹です")
except ValueError:
    print("数値を入力してください")

Q: 複数のエラーが同時に表示される場合は

Pythonは最初に遭遇したエラーのみを表示します。1つずつ修正していくことで、次の実行時に隠れていた他のエラーが順次表示されます。焦らず一つひとつ対処することが大切です。

まとめ

Pythonプログラミングにおいてエラーを深く理解することは、効率的な開発を進める上で欠かせないスキルです。エラーは問題が発生した場所や原因を知らせてくれる重要なメッセージであり、適切に対処することで、より安定したプログラムを作成できるようになります。

ポイント

  • 構文エラーは実行前に発見でき、文法ルールを理解しておくことで予防できる
  • 実行時エラーは変数の定義や型の整合性に注意することで回避できる
  • データ操作エラーは範囲チェックや存在確認で事前に防止可能
  • オブジェクトエラーはNoneチェックや属性確認で対策できる
  • エラーメッセージを読む習慣が身につくことで、トラブル解決力を上げられる

エラーに遭遇することを恐れず、一つひとつ丁寧に対処していくことで、プログラミングスキルは確実に向上します。継続的な学習と実践を通じて、エラー対応能力を身に付けていきましょう。

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