株式会社HAL
“エンジニアのために”を企業理念に掲げる、株式会社HAL。従業員数830名(2023年6月現在)の中堅システム開発会社である。
同社の最大の特長は、企業理念実現の具体策として、プロジェクト報酬の最大80%(新卒や未経験で入社した場合、1・2年目は所定の給与金額で、80%還元は3年目以降)を一定レベル以上のエンジニアに還元していること。業界平均と比較しても極めて高い還元率といえる。
「エンジニアに関わる人件費の総額としてお客様から頂いた報酬の80%を還元し、当社の利益は残り20%に抑えています。この好待遇により、エンジニアの就業やスキルアップに対するモチベーションを高め、結果的に業務品質向上に繋げています」と、人材戦略本部副本部長兼IT事業本部東日本営業副本部長の山内大樹氏は説明する。
この施策が奏功し、離職率の低さも手伝って、2003年5月の設立から20年で800名超の規模に成長できている。
そして、主要取引先として楽天、楽天カード、SCSK、キヤノンITソリューションズ、富士ソフト、インテック、USENといった多くの大手SIerや事業会社が顔を揃えている点に、業務品質の高さが表れているといえるだろう。
「多様な案件を有する大手SIerと数多くの取り引きをしているので、個々のエンジニアのキャリアビジョンに最適な案件にマッチングしやすいというメリットを発揮しています。これも“エンジニアのために”の大きな推進力となっています」(山内氏)。
同社の業務内訳としては、SIer経由案件が約80%、エンドユーザー直案件が約20%。領域別としては、システム開発が約55%、インフラ構築/運用・保守が約25%、サポート/ヘルプデスク/品質評価(テスト)が約10%、受託開発が約5%、制御/組込み開発が約5%。
システム開発実績としては、クレジットカード審査受付システム、製造業財務会計システム、証券リスク管理システム、計測器制御システム、音声・画像LSI開発制御系システム、電子書籍開発等のWeb系/業務系/制御系システムやスマートフォンアプリ等、広範に及ぶ。インフラにおいても、サーバー/ネットワークの設計・構築や運用保守、既存インフラの調査・分析/パフォーマンスチューニング等幅広い。
「お客様にとっては、当社がワンストップで多様な開発プロジェクトに対応できるメリットをご提供できています。『まずはHALに頼んでみよう』と思っていただける存在になっていると自負しています」と山内氏は強調する。規模の大きいプロジェクトの場合は、複数のシステム開発ベンダーからエンジニアを調達し、プロジェクトを組成後、マネジメントするという多大な手間が生じる。
「当社でプロジェクトリーダーを立て、プロジェクトメンバーもアサインしてチームとしてのご提供をご提案し、お客様の手間を軽減できるよう努めています」(山内氏)。
同社を創業した代表取締役の寺西信夫氏は、以前システム開発会社に在籍し、主にCOBOLで汎用機系のシステム開発を手掛けるエンジニアとして活躍した。しかし、自らの技術力に対する報酬の低さに疑問を抱く。調べてみると、明らかに不当に抑えられていると感じたという。そこで、こうした業界の在り方を変えていくために自分にできることは何かを考え、独立して自らが理想とする会社をつくろうとHALを設立した。同社の企業理念“エンジニアのために”には、こうした背景がある。
同社は、エンジニアが能力を100%発揮し、クライアントに満足してもらえるサービスを提供できるよう、エンジニアに対して“三つの約束”を掲げている。
一つ目は、エンジニアの満足度を第一に、その意志や夢、目標を尊重すること。山内氏は次のように説明する。
「採用面接では、必ず本人のキャリアビジョンやスキルアップのビジョンを確認した上で入社してもらい、そのビジョンの実現に繋がる案件にアサインするようにしています。このため、当社では9名の営業職が案件開拓に取り組んでいます」
二つ目は、冒頭で触れたプロジェクト報酬の80%還元。「20代後半のエンジニアが当社に転職した場合、年収は平均100万円アップしている」と山内氏。
三つ目は、案件はエンドユーザーから直接業務を請け負うSIerから、もしくはエンドユーザーからの直接受託が基本であること。何重もの中間介在者により、エンジニアの利益が搾取されることはない。
同社は、5年後の2026年度に“従業員数1,000名・売上高100億円”という目標を掲げている。現在は約500名で、売上高は25億円ほど。その為には、現状のビジネスの他に、新規事業開拓が必要不可欠。その為の施策としてアイデアコンテスト等を実施するなど、内勤、エンジニア問わず事業立ち上げのチャンスがあると山内氏は話す。
いい事業アイデアを出し、認められた者が自ら携われるチャンスはもちろんあるだろう。
830名の平均年齢は33~34歳、男女比率は70%・30%という組織の同社。
拠点としては、東京本社のほかに北海道支社(札幌)、東北支社(仙台)、中部支社(名古屋)、関西支社(大阪+京都オフィス、神戸オフィス)、広島支社、九州支社(福岡+北九州オフィス、熊本オフィス)に分かれて在籍している。
SESや客先常駐が主体の同社は、年2回、帰社日を設けて経営状況や業務状況、ビジョンの共有、セキュリティ講習等を行った後、懇親パーティーを開催。コロナ後は、オンライン上に場を移し、懇親会もビンゴ大会等を行う形で継続させている。
また、チャットアプリに技術領域別や拠点別等のグループをつくり、情報を共有したり相談を投げかければ応えられる人が対応できる体制をつくっている。
“エンジニアのために”を標榜する同社として、人材育成にも積極的に取り組む。資格取得制度を設け、受講料は合格を条件に全額を会社が負担。また、新卒や未経験での入社の場合、入社後2年間は資格取得者に当該手当も支給している。
さらに、関西支社に元大学講師の専任社内講師が常駐。定期的な講座が実施可能なほか、随時オンライン等でレクチャーを受けることができる。
その上、2021年5月から「業務後研修」を開始する計画が進んでいる。ベテランエンジニアを講師としてアサインし、月4回のペースで技術等の講座を開催し、必要に応じて社員が自由に受講できる社内大学的な存在だ。
「開始後、反響や要望を受けてカリキュラムや講師の幅を広げていきたいと考えています」(山内氏)。
働き方として、女性に優しい点も特色だという。「産休や育休は法律で取得が定められているものの、実際は取得しづらいという会社が多い。当社はそういったことが一切なく、しっかり休んだ後に復帰する女性社員は多い」と山内氏は話す。
そんな同社が求める人材像について、山内氏は次のように言う。
「経験は問いませんが、エンジニアという職業で一生を貫きたいという強い意志を持った方。必然的に、勤務態度も真面目であると思います。そんな方は、是非当社にアクセスしてください」
- 事業内容
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・コンピュータシステム導入に関するコンサルティング
・コンピュータシステム構築請負業務
・ネットワーク設計、構築、運用
・サーバー設計、構築、運用業務
・コンピュータシステム運用管理業務
・ERP導入コンサルティング業務
・エンジニア教育業務(新人研修、スキルアップ研修他) - 本社所在地
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東京都千代田区丸の内二丁目6番1号 丸の内パークビルディング6階
- 代表者氏名
- 代表取締役 寺西 信夫
- 設立年月
- 2003年08月29日
- 従業員数
- 1000名(2024/03現在)
- 平均年齢
- 35歳(2021/09現在)
- 資本金
- 1,000万円
- 株式公開
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未公開
- 外部資金/調達額
- 主要株主
- 拠点・関連会社
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◆支社
北海道支社/北海道札幌市中央区大通西7-1-1 井門パークフロントビル4階
東北支社/宮城県仙台市青葉区中央1-2-3
北陸支社/石川県金沢市彦三町1-2-1アソルティ金沢彦三 1階
中部支社/愛知県名古屋市中区錦2-2-2
関西支社/大阪府大阪市中央区安土町2-3-13
広島支社/広島県広島市東区二葉の里3丁目GRANODE広島3階
九州支社/福岡県福岡市博多区博多駅前1-14-16
◆オフィス
石川オフィス/石川県金沢市彦三町
神戸オフィス/兵庫県神戸市中央区
京都オフィス/京都府京都市中京区
北九州オフィス/福岡県北九州市小倉北区
熊本オフィス/熊本県熊本市中央区 - 主要取引先
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楽天株式会社/楽天カード株式会社/大東建託株式会社/伊藤忠テクノソリューションズ株式会社/SCSK株式会社/キヤノンITソリューションズ株式会社/株式会社日立ソリューションズ・クリエイト/スミセイ情報システム株式会社/株式会社アグレックス/株式会社シーイーシー/サイバーコム株式会社/日本システム技術株式会社/トヨタファイナンス株式会社/ブックオフオンライン株式会社/株式会社DTS/日鉄日立システムエンジニアリング株式会社/富士ソフト株式会社/株式会社JIEC/株式会社インテック/株式会社クレスコ/株式会社CIJソリューションズ/株式会社NSD/株式会社ビーシーシー/株式会社リンクレア
(順不同、他多数) - 事業概況
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2003年の立ち上げから20年経ち、従業員数も900名を超え、大きな成長を遂げてきました。
創業当時からの目標である「売上100億」「従業員数2000人」に向け、「エンジニアのために」という企業理念のもと、さらなる飛躍に向け従業員一同日々の業務をおこなっております。 - 事業構成比
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・システム開発業務55%
・インフラ(サーバー・NW構築業務)・運用保守業務30%
・ヘルプデスク業務10%
・その他5% - 売上高
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50億見込み(2023年度)
41憶6900万円(2022年度)
35億0704万円(2021年度)
28億4610万円(2020年度) - 営業利益