JavaScript throw文の使い方

この記事のポイント

throw文について学習する上で押さえておくべき重要なポイントを整理しました。これらの内容を理解することで、効果的なエラーハンドリングが可能になります。

  • カスタムエラーを作成してプログラムの実行を制御する機能
  • try-catch文と組み合わせて安全なコード実行を実現する仕組み
  • さまざまなデータ型を投げることができる柔軟なエラー処理方法

以下、詳しく見ていきましょう。

目次

throw文とは?

throw文は、プログラムの実行中に意図的にエラーを発生させる文です。開発者が特定の条件下でプログラムの処理を停止させ、エラー情報を伝達したい場合に使用します。throw文を使うことで、予期しない値や不正な操作を検知した際に、適切なエラーメッセージとともにプログラムの実行を中断できます。

一般的にはtry-catch文と組み合わせて使用し、エラーが発生した場合の処理を制御します。この機能により、プログラムの安全性と保守性が大幅に向上し、バグの原因を特定しやすくなります。

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基本構文

throw文の基本的な記述方法を確認しましょう。最もシンプルな形では、throw文の後にエラーとして投げたい値を記述します。
これらの基本構文を理解することで、状況に応じて適切なエラー処理を実装できるようになります。

try { throw "エラーメッセージ"; } catch (error) { console.log("エラーをキャッチしました:", error); }

出力結果

エラーをキャッチしました: エラーメッセージ

より実践的な使用方法として、Errorオブジェクトを作成して投げる方法があります。

try { throw new Error("詳細なエラー情報"); } catch (error) { console.log("エラーをキャッチしました:", error.message); }

出力結果

エラーをキャッチしました: 詳細なエラー情報

実用例

以下では、throw文を使った具体的なコード例を紹介します。実際の開発現場で遭遇するさまざまなシチュエーションを想定し、実践的な使用方法を学習できます。

各サンプルコードは短時間で理解できるよう簡潔にまとめており、すぐに自分のプロジェクトに応用できる内容となっています。try-catch文との組み合わせや、異なるデータ型、条件分岐との連携など、幅広い活用方法を紹介します。

基本的なエラーメッセージ

最もシンプルなthrow文の使用例として、文字列のエラーメッセージを投げる方法を紹介します。この方法は簡単に実装でき、エラーの内容を分かりやすく伝えられます。

function checkAnimal(animal) { if (animal !== "ネコ") { throw "ネコ以外は受け付けません"; } return "ネコが確認されました"; } try { console.log(checkAnimal("イヌ")); } catch (error) { console.log("エラー発生:", error); }

出力結果

エラー発生: ネコ以外は受け付けません

カスタムErrorオブジェクトの作成

Errorオブジェクトを使用することで、より詳細なエラー情報を提供できます。スタックトレースも自動的に含まれるため、デバッグが容易になります。

function validateAnimal(animal) { if (!animal) { throw new Error("動物名が指定されていません"); } if (animal === "イヌ") { return "イヌが登録されました"; } throw new Error("対応していない動物です"); } try { console.log(validateAnimal("ネコ")); } catch (error) { console.error("エラー発生:", error.message); }

出力結果

エラー発生: 対応していない動物です

数値による条件判定エラー

数値を投げることで、エラーコードによる分類が可能になります。システム内でエラーの種類を数値で管理したい場合に有効です。

function getAnimalAge(age) { if (age < 0) { throw 400; } if (age > 30) { throw 401; } return `ウサギの年齢は${age}歳です`; } try { console.log(getAnimalAge(-5)); } catch (errorCode) { switch (errorCode) { case 400: console.error("エラー400: 不正な年齢が入力されました。"); break; case 401: console.error("エラー401: 年齢の上限を超えています。"); break; default: console.error("不明なエラーが発生しました。"); } }

出力結果

エラー400: 不正な年齢が入力されました。

オブジェクト型エラー情報

オブジェクトを投げることで、構造化されたエラー情報を提供できます。複数の情報を含むエラーを扱う場合に便利です。

function processAnimal(animal) { if (animal.name === "トラ") { throw { code: 403, message: "危険な動物は処理できません", animal: animal.name }; } return `${animal.name}の処理が完了しました`; } try { console.log(processAnimal({ name: "トラ", age: 5 })); } catch (error) { console.error(`エラーコード: ${error.code}`); console.error(`メッセージ: ${error.message}`); console.error(`対象動物: ${error.animal}`); }

出力結果

エラーコード: 403
メッセージ: 危険な動物は処理できません
対象動物: トラ

配列データのバリデーションエラー

配列の中身をチェックして、条件に合わない場合にエラーを投げる例です。データの整合性を保つために重要な処理です。

function checkAnimalList(animals) { if (!Array.isArray(animals)) { throw new Error("配列形式で入力してください"); } if (animals.includes("ライオン")) { throw new Error("危険動物が含まれています"); } return `安全な動物リスト: ${animals.join(", ")}`; } try { console.log(checkAnimalList(["ライオン", "キリン"])); } catch (error) { console.error("エラー発生:", error.message); }

出力結果

エラー発生: 危険動物が含まれています

関数の引数チェック機能

関数に渡される引数の妥当性をチェックし、不正な値の場合にエラーを投げる例です。関数の安全性を高める重要な手法です。

function calculateAnimalFood(count, foodPerAnimal) { if (typeof count !== "number" || count <= 0) { throw new TypeError("動物の数は正の数値で指定してください"); } if (typeof foodPerAnimal !== "number" || foodPerAnimal <= 0) { throw new RangeError("一匹当たりの食事量は正の数値である必要があります"); } return `ヤギ${count}匹に必要な食事量: ${count * foodPerAnimal}kg`; } try { console.log(calculateAnimalFood(-1, 2)); } catch (error) { console.error(`${error.name}: ${error.message}`); }

出力結果

TypeError: 動物の数は正の数値で指定してください

非同期処理でのエラーハンドリング

非同期処理内でthrow文を使用する例です。

async function fetchAnimalData(animalId) { if (!animalId) { throw new Error("動物IDが必要です"); } if (animalId === "bird001") { return { name: "トリ", type: "鳥類", habitat: "森林" }; } throw new Error("指定された動物データが見つかりません"); } async function main() { try { const result2 = await fetchAnimalData("cat999"); console.log("取得成功:", result2); } catch (error) { console.error("エラー発生:", error.message); } } main();

出力結果

エラー発生: 指定された動物データが見つかりません

クラスメソッド内でのエラー制御

クラスのメソッド内でthrow文を使用する例です。オブジェクト指向プログラミングにおけるエラーハンドリングの実装方法を示しています。

class AnimalManager { constructor() { this.animals = []; } addAnimal(animal) { if (animal.species === "ヘビ") { throw new Error("ヘビの登録は禁止されています"); } this.animals.push(animal); return `${animal.name}が登録されました`; } } const manager = new AnimalManager(); try { console.log(manager.addAnimal({ name: "アオダイショウ", species: "ヘビ" })); } catch (error) { console.error("エラー発生:", error.message); }

出力結果

エラー発生: ヘビの登録は禁止されています

まとめ

throw文は、プログラムの安全性と可読性を向上させる機能です。適切に使用することで、予期しないエラーを防ぎ、デバッグ作業を効率化できます。この記事で紹介した内容を参考に、実際のプロジェクトでthrow文を活用してください。

throw文の活躍する場面

  • 入力値の妥当性チェック時のエラー通知
  • APIレスポンスの異常値検出とエラー伝播
  • 業務ロジック違反時の処理中断制御

重要なポイント

  • try-catch文との組み合わせで安全な処理実現
  • さまざまなデータ型を投げられる柔軟性活用
  • 適切なエラーメッセージでデバッグ効率向上

throw文を正しく理解し活用することで、より安全で保守性の高いコードを書けるようになります。エラーハンドリングは一見地味な機能ですが、アプリケーションの品質向上において欠かせない要素です。

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