C言語 calloc関数の使い方

この記事のポイント

C言語でプログラムを書く上で、メモリ管理は避けて通れない道です。今回はcalloc関数について詳しく解説していきます。

  • メモリを動的に確保し自動的にゼロで初期化する関数の機能
  • 基本的な使い方から応用例までの幅広い活用方法
  • 実際のプログラミング現場で使える具体的なコード例

これらのポイントを押さえることで、calloc関数を使いこなせるようになります。

目次

calloc関数とは?

calloc関数は、C言語でメモリを動的に確保するための標準ライブラリ関数です。

mallocと似ていますが、確保したメモリ領域を自動的にゼロで初期化してくれる特徴があります。関数名は「contiguous allocation」の略で、stdlib.hヘッダファイルをインクルードして使用します。プログラム実行時に必要なメモリサイズを決められる柔軟性があり、配列や構造体の動的作成によく使われます。

メモリ確保に失敗した場合はNULLポインタを返すため、適切なエラー処理が必要です。使用後は必ずfree関数でメモリを解放する必要があります。

【関連】
C言語をもっと詳しく学ぶならpaizaラーニング

基本構文

calloc関数の基本的な構文は以下のようになります。第一引数に要素数、第二引数に各要素のサイズを指定することで、必要なメモリ領域を確保できます。

#include <stdio.h> #include <stdlib.h> int main() { int *ptr = (int*)calloc(5, sizeof(int)); if (ptr != NULL) { printf("メモリ確保成功\n"); free(ptr); } return 0; }

出力結果

メモリ確保成功

別の例として、文字型の配列を動的に作成することもできます。

#include <stdio.h> #include <stdlib.h> int main() { char *buffer = (char*)calloc(10, sizeof(char)); if (buffer != NULL) { printf("10文字分のメモリを確保しました\n"); free(buffer); } return 0; }

出力結果

10文字分のメモリを確保しました

実用例

ここからは、calloc関数を使った具体的なプログラミング例を紹介します。実際の開発現場でよく使われるパターンを中心に、7つのサンプルコードを用意しました。各コードには詳細な説明を付けて、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

整数配列の動的確保

動的にメモリを確保した配列に値を代入し、その内容を表示する例です。calloc関数で確保したメモリ領域は最初からゼロで初期化されているため、安全に値を代入できます。このサンプルでは5つの整数分のメモリを確保し、それぞれに値を設定して表示しています。

#include <stdio.h> #include <stdlib.h> int main() { int *numbers = (int*)calloc(5, sizeof(int)); for (int i = 0; i < 5; i++) { numbers[i] = i * 10; printf("%d ", numbers[i]); } free(numbers); return 0; }

出力結果

0 10 20 30 40

文字列配列の作成

複数の文字列を格納できる配列を動的に作成する例です。文字列ポインタの配列を動的に作成し、各要素に動物名を代入しています。char**型を使うことで、文字列の配列として機能させることができます。

#include <stdio.h> #include <stdlib.h> #include <string.h> int main() { char **animals = (char**)calloc(3, sizeof(char*)); animals[0] = "ネコ"; animals[1] = "イヌ"; animals[2] = "ウサギ"; for (int i = 0; i < 3; i++) { printf("%s\n", animals[i]); } free(animals); return 0; }

出力結果

ネコ
イヌ
ウサギ

構造体配列の初期化

構造体の配列を動的に確保し、データを格納する例です。構造体Animal型の配列を動的に作成し、各要素のidフィールドに値を設定しています。calloc関数によってメモリがゼロ初期化されるため、未設定のフィールドは自動的に0になります。

#include <stdio.h> #include <stdlib.h> typedef struct { int id; char name[10]; } Animal; int main() { Animal *pets = (Animal*)calloc(2, sizeof(Animal)); pets[0].id = 1; pets[1].id = 2; printf("ID: %d, %d\n", pets[0].id, pets[1].id); free(pets); return 0; }

出力結果

ID: 1, 2

2次元配列の動的作成

2次元配列を動的に作成して数値を格納する例です。3×3の2次元配列を動的に作成し、対角線上の要素に値を設定しています。メモリ解放時は、まず各行のメモリを解放してから全体のポインタ配列を解放する順序が大切です。

#include <stdio.h> #include <stdlib.h> int main() { int **matrix = (int**)calloc(3, sizeof(int*)); for (int i = 0; i < 3; i++) { matrix[i] = (int*)calloc(3, sizeof(int)); matrix[i][i] = i + 1; } for (int i = 0; i < 3; i++) { printf("%d ", matrix[i][i]); free(matrix[i]); } free(matrix); return 0; }

出力結果

1 2 3

エラーハンドリングの実装

メモリ確保に失敗した場合の適切な処理を含む例です。calloc関数は失敗時にNULLを返すため、必ず戻り値をチェックする必要があります。このようなエラーハンドリングを行うことで、プログラムの安定性を高められます。

#include <stdio.h> #include <stdlib.h> int main() { int *data = (int*)calloc(1000, sizeof(int)); if (data == NULL) { printf("メモリ確保に失敗しました\n"); return 1; } printf("メモリ確保に成功しました\n"); free(data); return 0; }

出力結果

メモリ確保に成功しました

メモリ解放の実践

動的に確保したメモリを適切に解放する実践的な例です。メモリを解放した後にポインタをNULLに設定することで、解放済みメモリへの誤ったアクセスを防げます。これはメモリリークを防ぐための良い習慣です。

#include <stdio.h> #include <stdlib.h> int main() { double *values = (double*)calloc(4, sizeof(double)); values[0] = 1.5; values[1] = 2.5; printf("値: %.1f, %.1f\n", values[0], values[1]); free(values); values = NULL; return 0; }

出力結果

値: 1.5, 2.5

文字データの処理

文字データを動的に確保したメモリ領域で処理する例です。文字列を格納するためのメモリ領域を動的に確保し、文字を一つずつ設定しています。calloc関数によってメモリがゼロ初期化されるため、文字列の終端文字が自動的に設定されます。

#include <stdio.h> #include <stdlib.h> #include <string.h> int main() { char *message = (char*)calloc(20, sizeof(char)); message[0] = 'H'; message[1] = 'i'; message[2] = '\0'; printf("メッセージ: %s\n", message); printf("長さ: %zu文字\n", strlen(message)); free(message); return 0; }

出力結果

メッセージ: Hi
長さ: 2文字

まとめ

calloc関数は、プログラミングにおいてメモリの動的確保を行う際の選択肢の一つです。mallocと異なり、確保したメモリ領域を自動的にゼロで初期化してくれるため、予期しない値による不具合を防げます。適切なエラーハンドリングとメモリ解放を組み合わせることで、安定したプログラムを作成できるでしょう。

calloc関数の活躍する場面

  • 配列やバッファの動的作成時
  • 構造体配列の初期化処理
  • 文字列操作での安全なメモリ確保

重要なポイント

  • メモリ確保失敗時のNULLチェック実装
  • 使用後のfree関数による適切な解放処理
  • ポインタのNULL設定によるアクセス防止対策

これらの要素を理解してcalloc関数を使いこなすことで、より品質の高いC言語プログラムを開発できるようになります。メモリ管理は慣れるまで難しく感じるかもしれませんが、基本を押さえて練習を重ねることが上達への近道です。

レベルを更に上げたい方はpaizaプログラミングスキルチェックへ

  1. paizaラーニングトップ
  2. リファレンス
  3. C言語のリファレンス記事一覧
  4. C言語 calloc関数の使い方